選句
①祥雲選【4、9、12、13】
4 草むしるだけの一日秋うらら
「草むしる」は夏の季語で季重りですが、全体的に共感できる良句です。
9 マヌカンの顔色褪せず捨案山子
現実感のある、斬新な良句です。
12 頭陀袋に米ずっしりと十夜かな
「十夜」は冬の季語ですが、「浄土宗の念仏法要用の米が頭陀袋にずっしりと集められていることだなあ」という意の句でしょうか?現実感のある、趣のある句です。
◎13 走り蕎麦店の石臼ゆるゆると
既視感のある、新蕎麦を美味しく作る主の意気込みが感じられる良句です。
②歌子選 【7,◎10、12,13)
7空睨む大統領の捨案山子
空をにらんでいるのはおそらくトランプ大統領でしょう。
なにかユーモラスな感じのする句です。
◎10秋うらら膝痛忘れ孫を抱く
もうあまり負荷をかけることのできなくなっている膝、いつもかばっている膝なのに、孫ちゃんのあまりの可愛さに、思わず抱き上げずにはいられなかったのです。
12 頭陀袋に米ずっしりと十夜かな
最近めったに使うことのなかった頭陀袋の響きが懐かしい。
米は十夜で食べるのでしょうか。十夜の云われもしきたりもよくわかりませんが、何か揺さぶられました。
13走り蕎麦店の石臼ゆるゆると
今でも、石うすで蕎麦の実を引くお店があるのですね。
石臼がごりごりとゆっくりとリズムを刻んで蕎麦の実を引く音が
聞こえてくるようです。
③法被衣選【◎7、2、15、14】
◎7空睨む大統領の捨案山子
これはトランプ大統領の案山子とお見受けします。
強面の大統領の権威、地に落ちる?
2縁側で爪切る父や秋うらら
最近は縁側自体が珍しくなりました。
ちょっと背を丸めて足の爪を切っている何気ない平和な光景。
15雷雨去りかしげて揺るる秋海棠
台風接近で激しい雨は去るには去ったけれどまだ風が残っている景でしょうか。
14天高く聖の声や高野槙
聞こえくる読経の声とともに上へ上へと視線が誘われます。
④牛郎選 【1、6、8、14】
1役果たし大地寝床に捨案山子
案山子の効果が有る事に今年初めて気が付きました。
6、マーチンのかろき調べや秋うらら 秋と言えば運動会を連想します。
◎8、秋うららごめの孤独や利尻富士 今から数十年前に友達を訪ねて訪れた利尻島懐かしく思いだしました。
14、天高く聖の声や高野槙
死ぬまでに一度訪ねてみたいと思っている高野山でしょうか。
⑤一駒選【2, 7、12、◎15】
2、縁側で爪切る父や秋うらら
定年後のお父さんとっても幸せそうです。
7、空睨む大統領の捨案山子
多分トランプ似の案山子だったビョン
12、頭陀袋に米ずっしりと十夜かな
五穀豊穣の喜び伝わる
◎15雷雨去りかしげて揺るる秋海堂
雷の凄さが伝わり可憐な花がああ怖かったって震えてる