5月句会 選句
法
1 薄紅の栃の花咲くシャンゼリゼ 【祥雲】
祥 法
3 田も湖も八十八夜の水匂ふ 【牛郎】
牛 歌 駒
4 風入れて八十八夜のテレワーク 【法被衣】
祥 法
5 栃咲くや深山の空はいぶし銀 【歌子】
歌
6 突然に友逝く墓地に栃の花 【一駒】
7 晩春や海を見ている笠智衆 【牛郎】
8 晩春の強雨に煙る水たまり 【法被衣】
9 串に刺す八十八夜のバーベキュー【歌子】
10 微かなる八十八夜の土の音 【祥雲】
駒
11 晩春の天まで久美子翔けて逝く 【歌子】
◎牛
12 栃の木や天指す花の盛りかな 【法被衣】
◎祥 ◎歌 ◎法
13 鯖街道空の狭さよ栃の花 【牛郎】
14 歌遊び八十八夜少女たち 【一駒】
15 晩春や奈良公園の鹿の影 【祥雲】
牛
16 足の膝ボキボキ痛む薄暑かな 【歌子】
歌 駒
17 新緑や湖畔の宿の山椒飯 【祥雲】
18 夜風ふれ温風恋し晩春 【一駒】
祥
19 今朝生まる仔牛の授乳柿若葉 【牛郎】
牛 駒
20 鯉のぼり群し公園無人なり 【法被衣】
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① 牛郎選【4,◎12、16、20】
4、風入れて八十八夜のテレワーク
田舎でも生活の業態が変わりました。
◎12、栃の木や天指す花の盛りかな
栃の木は樹齢何百年に実がなると聞いた
ことが有ります。
16、足の膝ボキボキ痛む薄暑かな
最近朝起きて階段を降りる際膝から
リズミカルな音が聞こえます。
20、鯉のぼり群し公園無人なり
コロナ禍の影響で残念な思いをした感じ
共有しました。
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②祥雲選 【3、5、◎13、19】
3 田も湖も八十八夜の水匂ふ
気温が上がってきて、水中に藻やプランクトンが増えて
来て水が匂いだすころの様子が巧みに表現されています。
5 栃咲くや深山の空はいぶし銀
高木の栃の花は白い花を上に向かって咲かせるが、
その様子が「いぶし銀」と表現されていて良いと思います。
◎13 鯖街道空の狭さよ栃の花
若狭から京都へと続く鯖街道沿いに栃の花が咲いていた。
それが茂って空が狭く感じられたという景でしょうか。
人々の暮らしと自然の関係が巧みに織り込まれた良句
だと思います。
19 今朝生まる仔牛の授乳柿若葉
肌の艶々感と若々しさが共通していて、幸福感を誘う
良句です。
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③歌子選 【4、6,◎13,17】
4 風入れて八十八夜のテレワーク
まさに現況を切り取った句ですね。
「風入れて」に詩を感じます。
6 突然に友逝く墓地に栃の花
墓地に植えられている栃の木のどの花も
すっくと天を指していて、潔く生ききった友へ
の畏敬の思いがわいてきます
◎13鯖街道空の狭さよ栃の花
どこまでも続く街道を、覆うように 空高く生い茂っ
ている大木の並木の景が目に見えるようです。
「空の狭さよ」とは、うまく言いえた表現だと
思いました
17新緑や湖畔の宿の山椒飯
新緑に囲まれた趣のある宿、山椒飯
の香りと味までほっこりと伝わって
きます。
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④あらまち一駒選【4,◎11,17,20】
4 風入れて八十八夜のテレワーク
今を表してる新時代到来だ。
◎11 晩春の天まで久美子翔けて逝く
岡江久美子さんを偲んで
17 新緑や湖畔の宿の山椒飯
ビリっとご飯が旨い
20 鯉のぼり群し公園無人なり
緊急事態宣言発令でほんとホーム
ステイでした
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⑤ 法被衣選 【1,3,5、◎13】
1 薄紅の栃の花咲くシャンゼリゼ
栃の木はマロニエ、不思議なもので言葉で
イメージが全然違います。
3 田も湖も八十八夜の水匂ふ
美しい日本、水の国でもありますね。
5 栃咲くや深山の空はいぶし銀
空が花に埋もれる様子でしょうか。
◎13 鯖街道空の狭さよ栃の花
見上げると栃の花盛り。
時空を巧みに表現されています。