顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

2024年3月句会 作品、作者、選句、選者、一言感想、次回兼題

1

青空へ白木蓮の斉唱す 【祥雲作】

 

◎特選 (あらまち一駒選)         

青と白が際立って春を感じる  

〇並選 (法被衣選)              

見上げると青空を背景に白木蓮の花の合唱団。たくさんの木蓮

花があたかも口を開いて歌っているように見立てが面白いです。                              

〇並選 (歌子選)                

花の合唱団とは素晴らしい思い付き。思わずハーレルヤと歌い

たくなりました。情景が見えるようです。

2

指舐めておはる牡丹餅お中日【丑郎作】

 

◎特選【歌子選】                                                                           季重なりが気にならないくらいに、『指舐めて終わる』が

臨場感あります。牡丹餅づくりの情景が目に見えて、

おもわず指にあんこがついていないか、見つめてしまいました。

3

巣立つ日の孫の胸元パールかな(あらまち一駒作)

4

がうがうと冬を連れ去り春来る 【歌子作】

 

◎特選(法被衣選)              

 春一番をこのように表現する俳句の面白さ。   

〇並選(丑郎選)               

がうがうの音の表現気に入りました。

5

春一番窓越しに観る修羅場かな 【法被衣作】

 

〇並選(あらまち一駒選)            

風でゴミ箱でも吹っ飛び回ってるのでしょうか、勢いがある句です。 

6

三月の山河は水の光り出す   【祥雲作】

7

三月や何処も始まる田の準備  【丑郎作】

8

三月や余命宣告伸びる月【あらまち一駒作】

9

祝い事続く三月鉢を買う 【歌子作】

 

〇並選(丑郎選)                

手作りの鉢植えの花のプレゼント素敵。

10

三月や牛の顔さへのんびりし 【法被衣作】

 

〇並選(祥雲選)                

馬ではなくて、穏やかな牛が良い。三月の季節感が巧みに表現されている。

11

寂しさを残し千羽の鳥帰る 【祥雲作】

12

群青に染まる大琵琶鳥帰る 【丑郎作】

13

鳥帰るはたきパタパタ転勤や【あらまち一駒作】

14

餌ひとつ持たず大空へ鳥帰る 【歌子作】

 

〇並選(祥雲選)               

千里の北へ鳥が帰ってゆく。そのすごさに心を寄せている。

15

黄八丈織る手の白さ鳥帰る 【法被衣作】

 

〇並選(丑郎選)               

長く続いている伝統産業の担い手に感謝。

 

〇並選(あらまち一駒選)            

織物が出来上がる頃は手も白く鳥も北へかえる

16

万物のうごめく影や水温む  【祥雲作】

17

水温む坂本城の穴太積    【丑郎作】

18

術後すぐ介護申請水温む   【あらまち一駒作】

19

南国の「キジー」銛(もり)突く水温む【歌子】

20

田の端の小さな滝や水ぬるむ 【法被衣作】

21

青柳や寅さんの声どこからか 【祥雲作】

22

蔵元の看板かくす青柳   【丑郎作】

 

 

◎特選(祥雲選)                

景が見える良句。岡山県倉敷市の倉街の美しい景を見るようです。

〇並選(法被衣選)                 

柳が新芽を出し、今まで見えていた蔵元の看板が見えなくなった

という冬から春への時系列の発見が面白い。

                  

23

ゆらり揺れ人かと竦む柳かな【あらまち一駒作】

 

◎特選(丑郎選)

幽霊画の大家応挙「柳」を選んだ意味が判ります。

〇並選(法被衣選)              

暮れなずむ道の先にいるはずのない人影にドキッ。

なーんだ柳の木じゃないか、と自虐的な面白さがあります                    


         

24

雪解けて水面に揺るる猫柳 【歌子作】

25

道沿いに孤高の一本柳かな【法被衣作】

 

〇並選 (あらまち一駒選 )   

柳の木が長いこと人の往来を見てきたような孤高感が良い。                    

〇並選(祥雲選)

精神性のある句。「孤高」が光る。
 

 

三月も無事に乗り越え、四月を迎えることができそうで感謝です。

 

さて、早速ですが、次回の兼題をよろしくお願いいたします。下記のコメント欄か

私宛てのメールでお知らせください。お待ちしております。

 

祥雲さん   ( 蛙 )

丑郎さん   ( 春風 )

法被衣さん  ( フリージア

あらまち一駒さん(山笑う )

歌子     (雑詠)

 

 

 

 

 

 

2024年3月 顧問のいないネット句会 投稿作品

1

青空へ白木蓮の斉唱す

2

指舐めておはる牡丹餅お中日

3

巣立つ日の孫の胸元パールかな

4

がうがうと冬を連れ去り春来る

5

春一番窓越しに観る修羅場かな

6

三月の山河は水の光り出す

7

三月や何処も始まる田の準備

8

三月や余命宣告伸びる月

9

祝い事続く三月鉢を買う

10

三月や牛の顔さへのんびりし

11

寂しさを残し千羽の鳥帰る

12

群青に染まる大琵琶鳥帰る

13

鳥帰るはたきパタパタ転勤や

14

餌ひとつ持たず大空へ鳥帰る

15

黄八丈織る手の白さ鳥帰る

16

万物のうごめく影や水温む

17

水温む坂本城の穴太積

18

術後すぐ介護申請水温む

19

南国の「キジー」銛(もり)突く水温む

20

田の端の小さな滝や水ぬるむ

21

青柳や寅さんの声どこからか

22

蔵元の看板かくす青柳

23

ゆらり揺れ人かと竦む柳かな

24

雪解けて水面に揺るる猫柳

25

道沿いに孤高の一本柳かな

 

桜の開花ニュースがちらほらと聞かれるようになり、長かった冬ともようやく別れを告げる時が来ました。

 

少し遅れましたが、投稿作品がそろいましたので、お届します。          いつもの通り、互選四句で、特にお気に入りの句は特選とし、後の三句は並選として感想を添えてお送りください。締め切りは3月31日です。そのあとはすぐ4月の兼題をお願いします。ではお待ちしております。

 

3月の課題

3月に入り、もう桜が咲きだしている地方もあるようですが こちら(青森)は今日も雪景色で寒々としています。それでも確実に春はすぐそこまで来ています。

 さて、二月の句会が終わると3月句会の準備です。いつものように、コメント欄か歌子へのメールにて、3月の課題をお知らせください。

季語、読み込み、など、自由に課題をお知らせください。お待ちしております。

 

祥雲さんより     【 柳   】

丑郎さんより     【 鳥帰る 】 

法被衣さんより    【 三月  】

あらまち一駒さんより 【 水温む 】

歌子より       【当季雑詠】

2024年2月顧問のいないネット句会 作品、作者、選句、選者、感想

 

1

浅春やもぐらの塚の潤みたる

特選 (法被衣選)

★もぐらも冬眠から覚め活動開始。
潤みたるが美しい。
 
並選(歌子選)

★もぐらの塚が潤むとは、眠っていたモグラの躍動、大地の息吹が感じられ、感動的です。

 【祥雲】
2 春浅し波の引く間にふ海苔採る  【歌子】
3 地域枠合格通知春浅し 【あらまち一駒】

琵琶マスの雨後の溯上や春浅し

並選(祥雲選)

季重なりではあるが、みずみずしい景の描写が素敵です

 

特選(歌子選)

★琵琶ますって、琵琶湖周辺にしか生息しない魚だとか。

北海道のほうで釣れるサクラマスとかと似ているのでしょうか。産卵の後は一生そこに住み続けるのだとか・・・なんだか琵琶ますの神々しさや命の継承のための様子が美しく描写されていて、とてもいい句だと思いました。

 

 

 

 【丑郎】
5

春浅し行き交う人の襟たてて

 

並選(丑郎選)

季語に合う光景浮かびます。

 

並選(あらまち一駒選)

 ★春になってもまだ寒いを襟立てる動作で窺えて良い

 【法被衣】
6 軽々とゆかぬ苛立ち春スキー   【祥雲】
7 仮病にて急遽すっ飛び春スキー 【あらまち一駒】
8 木曽檜葉の樹林ぬけ行く春スキー  【丑郎】
9

春スキー温泉宿の昭和かな

 

並選(あらまち一駒選)

スキーは昔ほど人気のスポーツでない事を象徴するが昭和的宿に疲れもすっ飛ぶ

 

 【法被衣】
10

雪の無きゲレンデ閉鎖春スキー

★並選 (丑郎選)

今年の暖冬にスキー場は閑古鳥。

 

 【歌子】
11

下萌やチュッパチュッパと搾乳機

特選(祥雲選)

乳牛の乳首に嵌められた自動搾乳機の動きがいききと描写されていて良い。オノマトペも適切な斬新な句。

 

★並選(法被衣選)

テレビでしか見た事ありませんが、搾乳機のリズミカルな動き、
子牛が乳を吸う動きを再現しているのでしょうか。

 

 【丑郎】
12

下萌えや能登の瓦礫を持ち上げる

★並選(丑郎選)

復旧作業の遅れが気になります。がんばれ能登半島

 

★特選(あらまち一駒選) 

能登半島地震にも復興の兆しが見え出してる様だ
 【歌子】
13 下萌の淡き緑の牧場かな    【祥雲】
14 下萌や石灯籠の下周り 【あらまち一駒】
15 下萌や畔に命のカーペット  【法被衣】
16 ゴンドラが春三日月を乗せて来ぬ   【祥雲】
17 こつこつと春三日月の通夜の道 【あらまち一駒】
18 春三日月霊仙岳の肩に出ず  【丑郎】
19

 人を獲る漁師になれや春三日月

 

★並選(法被衣選)

仕事の本質と新人にエールを贈る春先の描写、お見事。

 

★並選(あらまち一駒選)

月に祈りを込めている

 

 【歌子】
20

何を盛ろ春三日月の皿の上

 

並選(祥雲選)

★心情を素直に詠んだ句。何も盛らないで、皿に写った三日月を見るだけでいい。

 

 【法被衣】
21

その中に農業志願卒業す

並選(法被衣選)

★土に生きて行く若者の輝く顔が見えるようです。

 

 【丑郎】

22

 

祖母の手で端切れ綸子も吊るし雛

並選(祥雲選)

 

★端切れ綸子で作られた吊るし雛を見ながら、祖母の愛情をしみじみと感じている作者。

 

並選(歌子選)

雛飾りとは縁も余裕もなく男みたいに育った私には、其れが端切れで作った雛飾りであろうとなんとも華やかで豊かさを象徴しているように思えます。

 

【あらまち一駒】
23

イレブンの蹴児の声や春の風

 

★特選 (丑郎選)

高齢者が集まる公園のサッカー場元気な子供たちの声に。

 

 【祥雲】
24 春まけて野良の猫たち行きかいぬ  【歌子】
25

春めきて亡き家猫を懐かしむ

 

並選 (歌子選)

★当季雑詠でしたのに、偶然同じ季語、同じ猫ちゃんの句になりましたね。

そこかしこに、猫ちゃんのいた心豊かな生活が思い出され、猫ちゃんの愛らしいしぐさなどが思い出されるのです。

 

 【法被衣】

 

2024年2月の投稿作品

1 浅春やもぐらの塚の潤みたる
2 春浅し波の引く間にふ海苔採る
3 地域枠合格通知春浅し
4 琵琶マスの雨後の溯上や春浅し
5 春浅し行き交う人の襟たてて
6 軽々とゆかぬ苛立ち春スキー
7 仮病にて急遽すっ飛び春スキー
8 木曽檜葉の樹林ぬけ行く春スキー
9 春スキー温泉宿の昭和かな
10 雪の無きゲレンデ閉鎖春スキー
11 下萌やチュッパチュッパと搾乳機
12 下萌えや能登の瓦礫を持ち上げる
13 下萌の淡き緑の牧場かな
14 下萌や石灯籠の下周り
15 下萌や畔に命のカーペット
16 ゴンドラが春三日月を乗せて来ぬ
17 こつこつと春三日月の通夜の道
18 春三日月霊仙岳の肩に出ず
19  人を獲る漁師になれや春三日月
20 何を盛ろ春三日月の皿の上
21 その中に農業志願卒業す
22 祖母の手で端切れ綸子も吊るし雛
23 イレブンの蹴児の声や春の風
24 春まけて野良の猫たち行きかいぬ
25 春めきて亡き家猫を懐かしむ

 

二月の投稿作品がそろいましたので、お届けします。

いつもの通り、四句互選として、特選一句 並選三句と一言感想とともに二月二十八日締め切りとして、よろしくお願いいたします。

2024年(令和6年)二月のネット句会の兼題

今日の青森はマイナス4度。まだまだ真冬日の真っただ中ですが、今日は節分、明日は立春です。春への希望だけで厳しい寒さに耐えておりますが、皆様のところは、春のひざしに包まれているのでしょうね。

 さて、一月句会が終わって、すぐ又二月句会です。まずは皆様からの兼題をお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。

 

丑郎さんから  (春浅し)

祥雲さんから (下萌)

あらまち育子さんから (春三日月)

法被衣さんから(春スキー)

歌子から   (当季雑詠)

2024年(令和六年)顧問のいないネット句会一月句会 作品、選句、作者

 

1門松の立つ新築の轆轤小屋  【丑郎】

 

2自分へのひそかな褒美冬の旅 【歌子】

並選(祥雲選)心情が滲み出ていていいですね。

温泉に浸かって思いを巡らせているかのようです。

 

並選 (丑郎選)毎日家族のために頑張っておられる作者、いい旅を。

 

3慎ましく暮らす二人の干菜汁 【祥雲】

 

並選 (歌子選) 穏やかな暮らしと季語の干菜汁が響きあっていて優しい気持ちにさせられます。

 

特選(丑郎選)高齢者二人の穏やかで温かい生活ぶりが目に浮か

びます。

 

並選 (法被衣選) 大根の葉も干していただく、小さな幸せがあふれています。

 

特選 (あらまち一駒) 干菜汁の匂いが部屋に充満して慎ましい懐かしい暮らしが浮かぶ

 

4セーターや脱ぎたくて脱ぐちくちくす 【あらまち一駒】

 

5酉の市手拍子の輪の笑顔かな 【法被衣】

並選 (あらまち一駒選)今年も良い年にと願う手拍子がいい

 

6余寒まだ居並ぶ人の背をまるめ 【丑郎】

7泣きべその吾子の掛け声寒稽古 【歌子】

8シリウスへ踏み出す素足寒稽古 【祥雲】

 

9冬萌や生まれし牛は湯気まみれ 【丑郎】

特選 (祥雲選) 子牛の誕生に二度立ち会ったので、おおいに共

感で、「湯気まみれ」が効果的です。

 

特選 (歌子選)季語が生きていて、句の内容と引き合っている。

動物の誕生の現場は見たことはないが、現場に立ち会ったような気持。「湯気まみれ」という言葉の選択がまたすばらしい。

 

特選 (法被衣選)実際に見た事はありませんが映像ではこの光景

を見た事があります。

 

10寒稽古五歳のこぶし空を切る   【あらまち一駒】

並選 (歌子選) なんともかわいらしく、凛々しい五歳児のこぶし。お孫さんでしょうね。強く元気に育てと目を細めて見つめているジジババの熱い思いまで見えるようです。

 

11輪になってえいえいとうと寒稽古 【丑郎】

 

12寒稽古吐息鋭く揃い踏み     【法被衣】

並選(あらまち一駒選)気合いが入ってる雰囲気がいい

 

13寒梅や古民家カフェの目標に   【歌子】

並選 (祥雲選)いいですね、現実感のある句で、景が目に浮かぶ

ようです。

 

14寒梅の玉の蕾を愛でし母 【祥雲】

並選(丑郎選)亡くなった母親を思い出します、ありがとうございます。

 

15寒梅や梅干し入りのお粥吸う【あらまち一駒】

 

16寒梅や命の便りもらうよう 【法被衣】

並選 (祥雲選)「命の便り」の心情の吐露がいいと思います。

 

17積雪に埋もれ門松大松に    【歌子】

18門松に薄雪つもる朝べかな   【祥雲】

19門松や出入りも減ったデパートに【あらまち一駒】

 

20家族写真大門松と背比べ    【法被衣】

並選 (歌子選)門松を囲んで幸せな家族の元旦が目に見えるようです

 

21余寒ふきとばし蟹丼爆食す   【歌子】

並選 (法被衣選) 乱調が蟹丼をかき込んでいる様子にぴったり。

 

22病弱の犬の鳴き声余寒かな   【祥雲】

並選(丑郎選)季語の持つ心情が上五、中七との組み合わせ絶妙と。  

 

23噂してくしゃみ連発余寒かな 【あらまち一駒】

 

24道場の板の間広し余寒かな 【法被衣】

並選 (あらまち一駒選)広い道場を素足で踏み入れた時に感じた寒さが伝わる

 

25寒梅やろくろの里は坂ばかり【丑郎】

並選 (法被衣選) 坂ばかりということばで山里が彷彿としてきます。