第144回 12月句会
番号 | 作 品 | 選 句 | 作 者 |
1 | 着ぶくれの人の割り込む座席かな | ◎歌 | 祥雲 |
2 | 掌(てのひら)に温もり包み玉子酒 | 駒 | 半被衣 |
3 | 起きたのは一二時間後玉子酒 | 牛郎 | |
4 | 初日の出チョイと出会し二度寝かな | 一駒 | |
5 | 着ぶくれを笑うどっちもどっちなり | 祥 ◎牛 | 歌子 |
6 | 君らしくクリスマスイブ天に逝く | 一駒 | |
7 | 着ぶくれの細身に風を抱え込む | 歌 祥 | 牛郎 |
8 | 鬼剣舞熱き舞台や外は雪 | 牛 駒 | 半被衣 |
9 | シンプルな手帳を選び十二月 | 牛郎 | |
10 | 新年と元気な百三祝けり | 牛郎 | |
11 | 玉子酒をひっくりかえす三毛の指 | 祥雲 | |
12 | 初鏡七十二の紅をやや濃くし | 祥◎法牛◎駒 | 歌子 |
13 | ぴったんと餅搗く父母の技と息 | 法 | 祥雲 |
14 | 四日より太鼓の稽古初写真 | 歌 | 半被衣 |
15 | 竈へと若水はこぶ母の背な | 祥雲 | |
16 | たまご酒欲しがる吾子やDNA | 牛 | 歌子 |
17 | 孫様の写真一面に賀状来る | 法 駒 | 歌子 |
18 | 着ぶくれの電車の乗りよう忘れたり | 半被衣 | |
19 | 着ぶくれの老婆一人と戯れる猫 | 歌 祥 法 | 一駒 |
20 | 風邪かな今夜は呑もう玉子酒 | 一駒 |
選句と選者の感想
①歌子選 【◎1、7、14、19】
1 着ぶくれの人の割り込む座席かな
着ぶくれているけど、座れるはず、と
無理やり隙間にお尻を押し込めて来る人、みたことがあるある(笑)
7 着ぶくれの細身に風を抱え込む
細身の人の実感なんでしょうね。それにしても風を抱え込むとはなるほど~~いい表現ですね、
14 四日より太鼓の稽古初写真
4日には稽古が始まるものの、正月気分が抜けきらない幸せな気持ち(?)で写真に納まる、そんなところなのでしょうか。一日から七日までが新年の季語なので、初写真とダブりましたね。「初稽古」の句を見てみたいそんな気がしました。
19 着ぶくれの老婆一人と戯れる猫
「老婆一人」とあえて一人を強調しているように見受けますが、たくさんの人がいる場所にいても、一人寂しい老婆の姿とその老婆を慰めてくれる子猫ちゃんとのささやかなぬくもりが伝わってくるような気がしました。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
②祥雲選【5、◎7、12、19】
5 着ぶくれを笑うどっちもどっちなり
ユーモラス溢れる臨場感のある、良句です。
◎7 着ぶくれの細身に風を抱え込む
「細身に風を抱え込む」に、季節感と心情が滲んでいて、とても良いと思います。
12 初鏡七十二の紅をやや濃くし
「今年も頑張ろう!」という気分を高めるような景が浮かびます。
19 着ぶくれの老婆一人と戯れる猫
和やかな景が浮かぶ良句です。
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③法被衣選【◎12、13、17、19】
◎12初鏡七十二の紅をやや濃くし
いくつになっても華やいだお正月の気分。
やや濃くしに特別な思いと紅を引く姿が伝わって来ます。
13ぴったんと餅搗く父母の技と息
お父さんが杵を持ち、お母さんが餅をこねる、
息もぴったりさすがです。技と息は言い過ぎのような気もします。
父母をはやしたて、父母と孫の声、とか、周囲の状況がわかるともっとよいと思いました。
17孫様の写面一面に賀状来る
人様の家族写真を送られてもねえ。
自分の孫なら大歓迎!?
19着ぶくれの老婆一人と戯れる猫
公園か境内での平和な一コマでしょうか。
猫パンチを繰り出す光景が目に浮かびます。
一人は必要でしょうか。
老婆と戯れる猫の午後、とかで時間軸を入れる事ができると思います。
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④牛郎選【◎5、8、12、16、】
◎5、着ぶくれを笑うどっちもどっちなり
読んで此方も思わず微笑みました。
8、鬼剣舞熱き舞台や外は雪
ブログ友達が岩手の北上での鬼剣舞の事を教えてくれました、その様子が直ぐに浮かびました。
12、初鏡七十二の紅やや濃くし
女心が良く判ります、大いにお洒落することが元気になると偉い先生が言っていました。
16、たまご酒欲しがる吾子やDNA
子供の頃に父親にねだったことが有るとお袋に言われたことが有ります。
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⑤あらまち一駒【2,8,◎12、17】
2、掌に温もり包み玉子酒
肌からも体の内部からもヌクヌクになって風邪も中和されていく
8、鬼剣舞熱き舞台や外は雪
寒暖が内外でグルグル回ってる感じがいいね
12、初鏡七十二の紅をやや濃くし(◎)
おめでたい日だもの紅白クッキリと
17、孫様の写真一面に賀状来る
そうそう納得よく来るよ