●歌子選 (11,17、24、30)
11 葡萄食む聖書の一語書きし後
「私はぶどうの木で、あなた方は枝です
人が私にとどまり、私もその人の中に
とどまっているなら、そういう人は多くの
実を結びます。ヨハネ15章5節」
今回の葡萄のお題をみたとき、聖書のこの個所を
思った。作者ももしかしたら、その言葉を
かきとめた後に、葡萄の実を感慨深く 食べたの
ではないだろうか。
17 廊走り渡る四角い秋の風
何もない建物のなかを吹き抜ける風に作者は感動
したのだろう。四角いかぜというとらえ方が、
面白い。
24 名月や浪に残りし松ひとつ
名月に松といえば、つきすぎのようだがこの松はきっと、
なのだ。あの大津波で奇跡的に一本だけ生き残り、
希望の松と呼ばれて、被災した人たちの、希望のシンボル
みたいな存在。その木を思うだけで、希望が湧く。
30 トラクターのエンジン切れば渡り鳥
エンジンの音がとまり、静寂に包まれると
広大な畑の中に一人ポツンといる寂寞感と孤独感。
空を飛ぶ渡り鳥は、作者自身の内面を表しているのかも。
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★歌子の作品
4.あめつちの愛をぎゅうっと葡萄かな 【歌子】
15.父母の墓訪うて色なき風と会ひ 【歌子】
26.どしゃぶりの雨の途切れに秋の風 【歌子】