顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

第49回 つだみつぐさん

●つだみつぐさん選 【4,21,33,40】
 

21 雪催頬杖で待つメールかな
 
ほほえましい句です。
 
恋人からのメールに違いありません。
 
待つことは決して苦痛じゃなくて。
 
まだかな。
 
 
雪が降りそう。
 
積もるのかな。
 
あ 来た!
 
 
 
4 冴ゆる夜や赤き衛星欠け満ちて
 
わたしがこの句を採った理由はひとえに
 
言葉の新鮮な使い方にあります。
 
月のことを「赤き衛星」!!
 
月食のことを「欠け満ちる」!!
 
ものすごく具体的で、映像を見るようです。
 
 
40 今日ひと日咲ききる幸や福寿草
 
この句を採った理由は明るさにあります。
 
たぶん、「福寿草」というめでたい名からの
 
連想でしょう。しかし、眼はしっかりとその
 
植物に注がれています。(その点、類句の
 
「47 幸せを一足先に福寿草」は観念にとどまっています。)
 
また、「幸(さち)」と「福」という似た意味
 
の漢字が続くことは句全体を弱めています。
 
しかし、その前の「咲ききる」という毅然と
 
した言葉が救っています。
 
たとえば「今日ひと日咲く幸(さいわい)や福寿草
 
と比較すれば。
 
明るい陽の中にわたしと福寿草がともに、今日と
 
いう日をまっすぐ生きています。
 
 
 
33 一言で泣き虫になる冬の夜
 
この句を採った理由は省略の多さにあります。
 
誰の一言なんだろう。どんな一言なんだろう。
 
なぜ作者は泣くのだろう。嬉しい涙なのか、
 
悲しい涙なのか。ぜんぶ省略されています。
 
情景の核だけが、あるいは本質だけが示され
 
ています。だから、読者は想像の翼を広げて
 
たくさん補って、その過程でそれぞれの人生
 
に思いをはせます。ああ、こんなことがあった。
 
あるいは、こんなことは、なかった、でも
 
あったかもしれない瞬間。
 
たとえばこんな一言。
 
「また二人きりになったね。あの頃みたいだね。」
 
「うん・・・・・」
 
「はじめまして。どうぞよろしく。」
 
「あの・・・・」
 
「なに?」
 
「好きです。つきあってください。」
 
 
 
 
♪♪・・・・♪・・・・・♪♪・・・・♪・・・・・・♪・・・・・・・♪……♪・♪・・・・・・・♪……♪
 
 
 
 
つだみつぐさんの作品
 
 
風冴ゆる十九の我に悔いのあり  【つだみつぐ】
 
少しだけ雪混じる雨メール消す    【つだみつぐ】
 
我ら皆生存者なり冬の夜        【つだみつぐ】
 
失せしもの残されしもの去年今年   【つだみつぐ】