つゆきさん選 (1,7,15,19,22、29)
1 一山の力集めて滝しぶく
季語は「滝」。力強い。結句「滝しぶく」が決まって居る。
7 切株に座りて浴びる滝しぶき
季語は「滝」。「切株に」の表現が、「滝しぶき」の表現効果
を高めて居る
15 柿の花落花をつつく鶏の影
季語は「柿の花」。柿の花は落花とそれが散り敷かれた後の土の状態が
印象的ですね。それを鶏が突(つつ)いて居る。「柿の花」と言う季語
が活きた。
19 家系図の読めぬ字あまた柿の花
季語は「柿の花」。人間世界の世俗的なしがらみ。それに対して自然は
相変わらず元の如しの様だ。そのコントラストが絶妙。季語の「柿の花」
は相変わらずな自然の象徴だ。
22 田から田へ風の波紋は走り去る
風の歌が聞こえて来そうだ。恐らく田水が張られ、田植の終った後の田で
あろう。ですので、季語は特定できないが、状況は想定できる。
「風の風紋」は走り去ったのだ。
29 父の癖まねてラムネを飲む子かな
季語は「ラムネ」。微笑ましい情景。