歌子選 【3.6.26.28】
3. 白々と秋時雨明け黒き道
白々とあける・・・で、一雨ごとにさむくなっていく空気の
冷たさと、黒き道の寒々しさとがまるで墨絵のように
うかんできます。
6.常臥の窓に訪う小鳥影
健康の弱さを覚えて、横になっている窓辺に
小鳥の影。友に会いに行くこともまた会いに来てくれる
友もないなかで、小鳥の訪問に慰められ癒されている
のでしょうか。自由に動き回ることのできないわが身と
自由に羽ばたける小鳥との対比が、読者の切ない思い
を一層深くさせます。
26.腰曲げた母のりんごに小鳥来る
なんだかほのぼのといい情景だなあ
と思いました。リンゴに来る鳥だから、ヒヨドリでしょうか。
カラスも来るけど、カラスとてかわいいものです。
腰曲げた母・・・というのが、臨場感があっていいですね。
28.鰯雲語れぬ罪のひとつあり
秘め事の一つや二つ鰯雲 いつかこんな句を作ったこと
があるのですが、そんななまなかなものじゃないですね。
いやーどきっとさせられました。
33.秋の天恵みを受ける両手かな
やや抽象的ですが、恵みの秋への感謝が
あふれていますね。
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歌子の作品 10月12日
2 津軽路は薄墨色や秋時雨 【歌子】
13.白髪に揺れる野の花小鳥来る 【歌子】
24.長き夜や飽かずギターを抱いてをり 【歌子】