顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

⑥つだみつぐさん選

⑥つだみつぐさん選 【1.16.20.25.34.37】 
 
 
 

37 人に時地には静寂大海月
 
一読してしびれるような感触がありました。
 
たった17字でなんて大きな世界。海月を
 
透かして宇宙全体を見る、そんな眼をわたしも
 
持ちたい。何よりも「地には静寂」という言葉、
 
すごいとしか。
 
「人に時」はいろいろなとらえ方ができる言葉
 
ですね。慌ただしくくるくる回っている時なのか、
 
豊かな大河のように流れる時なのか。いろいろ
 
なとらえ方ができる、ということは深い広がりを
 
持つ、ということかも知れません。
 
言われてみれば確かに、なぜかわからないけど、
 
大きな海月にはどこか永遠や宇宙を感じさせる
 
ものがありますね。
 
 
 
 
34 うつし世を漂う我も海月かな
 
こちらは海月から我が身の方に視線が移ってい
 
ます。いろんなことを考えさせるものなのですね。
 
くらげ、恐るべし。
 
 
 
 
25 包丁の刃先深々冷奴
 
不思議な句です。台所で普段何気なく切っている豆腐。
 
それがこんなふうに詠まれると豆腐を切ることがとても
 
大切な行為であるかのようです。
 
たぶん、手のひらに載せて、ゆっくりと深々と包丁を
 
入れる、手のひらに当たるまで。
 
豆腐の冷ややかな感触、手のひらにそっと当たる
 
包丁の刃先のきわどさ。
 
 
 
 
20 大西日木魚三三七拍子
 
ひらがな(かたかなも)が一つもない、見た目の
 
おもしろさに一票。
 
日の暮れる少し前のゆったり流れる時間も感じ
 
させてくれます。
 
 
 
 
16 荷車で西瓜二玉届きけり
 
にぐるま?リヤカーのことかしら。だとしたら
 
もう長いこと見ていない。
 
大きなスイカが二玉あればぜいたくに食べら
 
れる、受け取った側のちょっとびっくりした笑顔
 
が目に浮かびます。
 
日常の中のちょっとした瞬間をすくい取るように
 
切り取る、切り取られた時、その瞬間は鮮やか
 
さを増す、魔法みたい。
 
 
 
 
1 奈落より神霊上がる瀑布かな
 
滝の水が落ちた場所からは水が小さく砕けて
 
霧のようになって下からあがってくる、何か
 
わたしたちの存在をこえるものがずっと
 
深い地の底からやってきて立ち上っているか
 
のようだ。滝という現象そのものがそのような
 
非日常性を帯びている。
 
「滝」を「瀑布」と言い換えたことがとても効果的。
 
「奈落」「神霊」「瀑布」どれも日常をこえた言葉だから。
 
 
 
 
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●つだみつぐさんの7月の作品
 
 
 
滝の音で聞こえなかったわもう一度 【つだみつぐ】
 
ねえくらげ時はどっちに流れるの   【つだみつぐ】
 
押し流せすべてを叩け俄雨      【つだみつぐ】