★ J次郎２選 ★ １１．１５．２０．２５．２６．４０．５２
１１ 番台でフェザー粉もとめ髪洗ふ ○
銭湯の(女湯の)作法を知らぬゆえに、おもしろし
１５ 長電話夫差し出す麦茶かな ○
怒りもせで茶を差し出す夫の心根に共感いたしたり
２０ 結い上げし頃もなつかし髪洗ふ ○
おいくつでいらっしゃるのか、想像のふくらむこと
２５ 秘めしことつい言ひかけて麦茶飲む ○
さもあらんとぞ思いけるに、歌子さんの作とぞ思い至るべし
２６ 髪洗ふ子は頑なに瞼閉ず ○
まさに、と一瞬の写生をいたしけるが佳しとぞ
４０ 髪洗ふ予定を入れて服選ぶ ○
これもまた、男の身にあらば、さもありなんと覚ゆ
５２ 草笛や童となりて森を行く ◎
童心に返る情景、目に浮かびたり
1 試合終え球児いつまで髪洗う
2 麦茶より麦酒呑みたし汗の峡（かい）
3 うなずきし母の麦茶のありがたし
4 髪洗う女立てひざ浮世風呂
5 麦茶飲む涼やかになる軒の鈴
6 洗い髪胸元で拭く指の白さよ
7 雨上がり喉に優しく麦茶飲む
8 兼題や麦茶飲み込み一句でき
9 髪洗いタオル振り切る天使の輪
10 髪洗う赤子は婆にまかせおき
11 番台でフェザー粉もとめ髪洗ふ
12 洗い髪さらす夜風の柔らかさ
13 縁側で麦茶を飲んで笑みうかぶ
14 髪洗ふ日本画掛ける六月一日
15 長電話夫差し出す麦茶かな
16 髪洗ひ干さず寝しやもメデューサよ
17 忘れられ汗びっしょりの麦茶かな
18 育つ花見ながら麦茶飲むも良し
19 麦茶飲む粋な姿の若い衆
20 結い上げし頃もなつかし髪洗ふ
21 洗い髪櫛の匂うて三面鏡
22 すれ違いバラの香りの洗い髪
23 縁側や麦茶が欲しい泡のたつ
24 毛無山タケノコ採りて髪洗ふ
25 秘めしことつい言ひかけて麦茶飲む
26 髪洗ふ子は頑なに瞼閉ず
27 我と夫見えぬ病に麦茶飲む
28 旋盤を止めて一気に麦茶飲む
29 久々に見る娘の笑顔髪洗ふ
30 孫せがむ麦茶で乾杯ばば相手
31 髪洗う日本絵画の女なり
32 憂きことをザブッと流し髪洗ふ
33 我一人氷の音と麦茶飲む
34 髪洗ふ少女の鼻に泡の玉
35 麦茶注ぐ意中の彼にやや多目
36 窓を開けブルース流れ飲む麦茶
37 年重ね負うる試練に髪洗ふ
38 髪洗う姿を映すすりガラス
39 髪洗ふ人影並ぶ湯気の奥
40 髪洗ふ予定を入れて服選ぶ
41 コマーシャル麦茶ロックの琥珀色
42 ホームラン息をはずませ麦茶飲む
43 額拭き麦茶氷の杯ながむ
44孫去りて湯飲みが二つ麦茶かな
45 草笛で北国の春吹くボランティア
46 草笛を吹きつつ帰り母を待つ
47 罰あたり階段こけて紫陽花寺
48 紫陽花の葉を皿にして朝餉かな
49 草笛や遊び疲れた帰り道
50 紫陽花の色を引き出す小雨かな
51 満開の紫陽花の前猫座る
52 草笛や童となりて森を行く
