歌子 第7回 選句・感想
歌子選
2 縁日や金魚掬いで仲直り
掬い上げた小さな金魚を袋に入れて、さっきまでちょっとこじれていたのが
すっかりとけて 笑顔を交し合っている様子が見えるよう。
7 真昼どき金魚のやうな紅を引く
口紅と金魚の結びつきが意外で、そんなに紅い紅をひいて、いったい誰に会い
にいくのかしら?島ちゃん教えて。
15 しのび足猫が気にする金魚鉢
猫のいるゆったりと平和な日常の風景ですが、金魚危うしの緊迫感と、猫の
様子が見えて面白い。
17 鮮やかに逃げる金魚を追ひかける
つかまえられそうでつかまえることのできない金魚。金魚の鮮やかな身のこなしと、
鮮やかな赤の両方に言葉がかかっていて、色も動きもみえてきます。
26 祝膳目の前にして金魚かな
祝膳、お孫さんの食い初めの祝いとか誕生祝かな~~。家族の喜びと感謝
を、金魚の赤が引き立てている。
28 栗の花雨呼び寄せて美濃平野
雨に濡れて緑輝く美濃平野の豊かな景が、目の前に広がって見えるような句。
栗の花が揺れているのを、『雨呼び寄せて』とはなんて素敵な表現なんでしょう。
37 遠く来ぬ満目の白栗の花
遠くにきてみたらいきなり目の前に、わーっと迫るような白い栗の花、花、花。
満目の白、という表現に圧倒されました。
★★ 歌子の句 ★★
10 昼すぎのけだるさ金魚に見つめられ
13 栗の花ぜったい内緒といわれても
27 毛虫だと泣く子の肩に栗の花
39 指をいれ金魚の空を揺らしけり
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