第143回11月句会作品選句作者
番号 |
作品 |
選句者 |
作者 |
1 |
長谷寺のわらべ地蔵や帰り花 |
◎牛 つ |
祥雲 |
2 |
返り花見上ぐ先にはビルの群れ |
|
法被衣 |
3 |
返り花木地師の技に口伝かな |
駒 つ |
牛郎 |
4 |
時刻み11がつの古希が往く |
法 |
一駒 |
5 |
雨降つて下さい菠薐草のため |
歌 |
つゆき |
6 |
越し方に悔い二つ三つ帰り花 |
祥 ◎駒 |
歌子 |
7 |
山茶花の石段踏みつ昼下がり |
祥 牛 ◎つ |
法被衣 |
8 |
涸沢の三段染めの紅葉かな |
歌 牛 法 |
祥雲 |
9 |
湖北路の風が磨くや干し大根 |
◎祥 歌 駒 ◎法 |
牛郎 |
10 |
コート脱ぎふるき話に返り花 |
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一駒 |
11 |
行列や十一月のラーメン店 |
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歌子 |
12 |
メモリーにふさぎ込みがち十一月 |
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つゆき |
13 |
駒 |
牛郎 |
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14 |
新聞に包む野菜や冬に入る |
祥 牛 つ |
歌子 |
15 |
返り花川泳ぐ猫に家ありや |
法 |
つゆき |
16 |
初雪や豪風に舞い七変化 |
歌 法 つ |
一駒 |
17 |
11月日向に猫の一文字 |
祥 ◎歌 駒 |
法被衣 |
18 |
十一月秩父の山の猿の声 |
牛 |
祥雲 |
選句選評・感想
- ①祥雲選【6、7、9、14、17】
6 越し方に悔い二つ三つ帰り花
「越」でなく「来」が良いと思いますが、句全体に想いが溢れています。
7 山茶花の石段踏みつ昼下がり
情景がありありと浮かぶ良句です。花びらが少し零れているのかも。
◎9 湖北路の風が磨くや干し大根
素敵な水彩画の風景を見るような良句です。
14 新聞に包む野菜や冬に入る
季語が動くような気もしますが、好ましい景の良句です。
17 十一月日向に猫の一文字
気持ち良さそうに眠っている猫の様子が浮かぶ良句です。
②歌子選 【◎17、16、9、8、5】
5雨降つて下さい菠薐草のため
散文のようですが、農作物のために雨を乞う気持ちが伝わってきます。
8涸沢の三段染めの紅葉かな
紅葉の美しさが、「三段染め」に見事に表現されており、目に見えるようです。
9、湖北路の風が磨くや干し大根
湖風をまとった冷たい風が干し大根をおいしくするんですね。
16初雪や豪風に舞い七変化
東西南北上下斜めから吹き付ける雪、豪雪の時期を想像しましたが先日の初雪の時の弘前はすごい雪だったようですね。
17十一月日向に猫の一文字
日向におなかを見せて無防備に寝ている猫ちゃん。「一文字」で様子が手に取るようにわかり、想像して頬が緩みます。
③牛郎選【1、7、8、14、18、】
◎1、長谷寺のわらべ地蔵や帰り花
鎌倉の長谷寺を詠われたのでしょうか?十数年前に訪ねた頃、真新しい可愛いお地蔵さんが有りました。
7、山茶花の石段踏みつ昼下がり
山茶花の花の掃除に明け暮れています。
8、涸沢の三段染めの紅葉かな
三年前の秋に奥穂高同級生五人で登った事を思い出しました。
14、新聞に包む野菜や冬に入る
丁度ご近所の方から沢山の野菜のおすそ分けを頂いたところでした。
18、十一月秩父の山の猿の声
私の住んで居る集落にも野猿が出没して畑を荒らしています。
④一駒選 【3,◎6,9,13,17】
3、返り花木地師の技に口伝かな
若い弟子にアーだコーだ熱意込め指導し技の再現を期待してる姿が彷彿される。
◎6、越し方に悔い二つ三つ帰り花
ハッとする句でした。
9、湖北路の風が磨くや干し大根
ズラリ萎びて美味みました大根カーテンが浮かびます
13、流球朝顔咲いてさびしき11月
沖縄首里城が火災で炎上崩落ニュースが浮かびます
17、十一月日向に猫の一文字
秋日和の温もりが猫の姿から感じられる
⑤法被衣選句【4、8、◎9、15、16】
4 時刻み十一月の古希が往く
今は古希は稀ではなくなっちゃった感があります。
時刻みに人生の重みが巧みに表現されているように思います。
8 涸沢の三段染めの紅葉かな
涸沢から静寂感あふれる凄みのある紅葉狩りの様子がうかがえます。
◎9 湖北路の風が磨くや干し大根
うららかな陽の光と冷たい風、大根の白、
磨くという表現が人の営みをも表現しているように感じます。
15 返り花川泳ぐ猫に家ありや
猫が川を泳ぐ姿はまだ見た事ありませんが、心配になります。
16 初雪や豪風に舞い七変化
強い風にちぎれんばかりに舞う初雪の姿がほうふつとしてきます。
時間軸を入れるとより鮮明になるかも知れません。
⑥ つゆき選【1,3、◎7、14,16】
1 長谷寺のわらべ地蔵や帰り花
3 返り花木地師の技に口伝かな
◎7 山茶花の石段踏みつ昼下がり
季語は「山茶花」。山茶花が鑑賞出来て疲れが紛らわされたのかもしれません。
14新聞に包む野菜や冬に入る
16初雪や豪風に舞い七変化