顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

J次郎2選  第22回

●J次郎2選句 【06 15 27 45 54】JJ2




五句選句

06 憂きこともいつか去るべし霧連夜

     連夜連日の霧とはいえ、いつかは晴れる日が来る。

     その霧のようにきっと、この憂鬱も晴れる日が来る。

      (紋切り型の精神訓話か、ジャニーズの歌詞のように

       特別なことは言ってないのだが)

     去るべし、と自分の意思を強調することで、訓話や流行歌

     の歌詞を越えている





15 蜩や今日は終いと靴を脱ぐ

      かなかなが鳴いている、まだ外は明るいけれど・・・

      そうした場面転換が、とても俳句的な表現だと






27 台風のせまり来てもや露天風呂

      どこの温泉地のことか、露天風呂のよしづ張りが風に

      鳴っている。

      露天風呂から空を見上げれば暗い夜空をさらに黒い雲

      が走っている。
 
      せまり来てもや、の「もや」が反語的表現でもあり

      「や」で俳句の切れ字にもなっていて、これまた俳句的

      な表現だと





45 たっぷりの味噌汁ですくすく老いる

      山頭火の自由律を思わせる無季の句ですね。

      すくすく、と、老いる、

      ほとんど反対の意味をつなげてすこやかな情景を
    
      見せてくれる
      
      これも俳句として充分に鑑賞に値する句ですね





54 三日月の切っ先に指乗せてみる

      無季の句をふたつ選んでしまいました。

      けれど、この情景って目に見えませんか。

      まだ残照の橙色と宵の藍色がせめぎあう頃、

      やや黄色みを帯びた銀の三日月はよく研いだナイフ

      のよう。
  
      まっすぐ伸ばした指の先をちょんと月の先端に置くと

      切れてしまうかも  その面白みを買いました

       (五年くらい前の冬 JJ2 はこんな句を詠みました)

        「雪雲を 裂いて利鎌の 沈み入り」




以上五句を選句しました。

06はきっとうたこさんの句です。九割がた自信あり。

さて、気になった句もいくつか

18 摩天楼ぽっかり消えて霧しぐれ

    うーん。情景はわかるような気もするけど・・・・

    しぐれ(時雨)は冬の季語だよなぁ・・・・





37 月明かし飲み屋の最後の客となり

    中、下の句がおもしろい。でも上とのつながりが

    少し弱いような

    場面の転換ととらえても・・・

    きっと「明かし」が気に入らないんだ、JJ2は、まるで蛍光灯

    のように明るい月が





39 出ぬ乳に赤子なく夜や野分け立つ

    これは選句に迷いました。27のおもしろさを採るか、この39の不安

    と苛立ちを採るか  この句は、心の動きを一言も言わないのに、

    情景とともに情念を充分表現しています

    まさに正統的な俳句表現だと思います。

    今からでも遅くないから27と差し替えようかな・・・





56 コスモスや地にあらがひて空仰ぐ

    これもまた選句に迷いました。54の三日月に対してこちらは季あり

    「あらがって」という強い語をなよっとしたコスモスにあてる

    この語感もまた俳句のおもしろさだと

    うーん、今からでも遅くないから54と差し替えようかな・・・






ここに上げなかったほかの句にも、なぜ選句しなかったのか自分でもよく

わからないよい句があります。

もう、選ぶ基準なんて・・ぽっと目についた句・・なので

みなさん御容赦くださいね   JJ2