顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

萍漂子選  第24回

● 萍漂子選 【14.26.27.29.59.】


14.湯豆腐を一人ぼんやり雨の日に  

【感想】
 
    雨の日に客も来ず、また、人を訪うこともない。
 
    いずれにしても心ここにあらず、所在なさが目

    に浮かびます。
 
    湯豆腐というあまりにも手軽で日常的、ありふ

    れた食べ物であるために、視点、関心が湯豆腐

    から離れ「ぼんやり」しながら、心はどこへ何

    をしに行ったのでしょう?

    きっと、箸の動きも止まったことでしょう。




26.宵闇の短き逢瀬ひしと抱き    


【感想】

 逢瀬は誰にもありがちな青春の一齣であったり、現在

 進行中のことであったり、さまざまですが、その真相は

 別にして、宵闇の長さに鑑みれば、逢瀬の短さと宵闇の

 短さが相俟って、二人がその短さを恨む心情が「ひし」

 という語に良く表れていると思います。

 遠い記憶を辿れば、私にもそんなことがあったように思います。




27.なでつけてそぞろ宵闇呑み屋街  


【感想】

 仕事を終えて、小綺麗に身繕いを済ませ、どの店に行く

 ともなく呑み屋街へ出陣したのでしょうか。宵闇に赤提灯

 やネオンがひときわ輝き、「早くおいで、おいで」と手招

 きしているようです。




29.ふわふわの湯豆腐さらう笑顔かな 


【選評】

 「ふわふわ」の語感に魅力を感じました。

 笑顔は何に由来するものでしょうか?家族の団らんでの会話

  なのか、それとも、夫婦、恋人との間で交わす問わず語りな

  のか。ふわふわは湯豆腐であり、そこに集う人の心や気持ち

  なのでしょう。楽しい想像が巡ります。





59.霧降りて谷の集落まだ明けず   


【感想】

 山間の谷の集落が霧に包まれてまだ明けやらぬ風景に

 深い静寂を感じます。見ている人はこの集落の人なのか、

 あるいは、ここを訪れ遠望している人なのでしょうか。

 いずれにしても「未明と霧」から山の冷涼な空気と深い

 静寂、寂寥感が伝わってきます。まるで絵画のようです。
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 今回も大変勉強させていただきました。

 感想については、皆様の句への理解が浅いとの前提で、

 思い違いや失礼が有りましたならばお許し下さいますよう
 
 よろしくお願いいたします。
















● 萍漂子の作品

 9.湯豆腐よわが身を割りて逃るるか 【萍漂子】

12.背中向けわれは湯豆腐子は奴っこ 【萍漂子】

13.白き手が湯豆腐掬ふ朱の蓮華   【萍漂子】

22.衣ぎぬの別れを舫へ湯豆腐に   【萍漂子】

23.衣ぎぬの別れの夜は湯豆腐を   【萍漂子】

24.鍋の中残る湯豆腐箸いくさ    【萍漂子】

33.ラッパの音母は湯豆腐思ひつき  【萍漂子】

34.湯豆腐よ塗り箸とても逃がさぬぞ 【萍漂子】

42.湯豆腐よ鍋に踊りてなに嬉し   【萍漂子】

43.ぷるりんと逃げし湯豆腐岩木山  【萍漂子】

49.宵闇にひときは光れ北斗星   【萍漂子】

50.宵闇のしじまに宮はつつまれて 【萍漂子】

51.宵闇の深くまします鎮守さま  【萍漂子】

57.宵闇に町のともしび恋しくて  【萍漂子】 

58.月出でて宵闇を裂け岩木山   【萍漂子】
 
62.宵闇に犬吼えて月出でん    【萍漂子】 

65.宵闇の街灯の下に人を待つ   【萍漂子】

66.宵闇にまぎれ人と連れ添ふて  【萍漂子】

68.宵闇に月出し時いかにせむ   【萍漂子】

69.いかんせむ宵闇の月わが心   【萍漂子】