今回の選句は難儀でございました。もう直感に頼りました。
●法被衣選【80、60、35、8、48】
●法被衣選【80、60、35、8、48】
80しゅるしゅると吐息の回るシャボン玉
「吐息の回る」の言い回しがシャボン玉が膨らむ光景を
とらえて見事です。
60さよならも言わず友逝く春の空
同類の句「突然の訃報届くや石鹸玉」を投句させて
いただきました。
人の死はあっけない事を実感します。
35小刻みに親と円舞の巣立ち鳥
円舞に小鳥の動きがとてもよく表現されています。
これから巣立つ準備が目に浮かびます。
8諌めれば笑って返す惚けの春
惚けは果たして誰なのでしょう。
自分の親なのか、介護先のお年寄りなのか
自分なのか。もはや細かい事にこだわらないおおらかさ
を感じてしまいます。
48シャボン玉メタモルフォーゼくりくらと
大きなシャボン玉のあぶなっかしい膨らみ具合。
句全体が現代的な響きがあります。
なぜか選外になってしまった句・気になった句
1蛤の耐えてふたみのわかれかな
最後まで迷いましたがちょっと整い過ぎ、のような
感じを受けました。
4新調の詰襟の笑み真白い歯
真白い歯と笑みがだぶり?
20春祭り舞の終りの巫女の笑み
よく観察されていると思いました。
もし舞の最中緊張していた巫女が舞い終ってほっとして
笑みをたたえているとしたら春祭り舞い終りてや巫女の
笑み、でしょうか。
21吹く子らの姿なくても石鹸玉
石鹸玉だけが浮遊する光景が面白いです。
姿なくても、の言い回しがまだ何かできそうな気がします。
25晩年の夢ふくらませ巣立鳥
まだまだこれから、という気持ちが伝わってまいります。
31チューリップ咲いた咲いたと笑う母
無邪気なお母様の姿が愛らしいです。
そのまま詠んだという感じがします。
勝手に盗作
チューリップ咲いた咲いたと母の笑み
32耳をつくさえずり残す巣立ち鳥
小鳥の鋭い鳴き声に集中した内容が面白いと思いました。
43蛤の陰膳椀の華やかさ
蛤と漆塗りの椀のとりあわせが美しいです。
華やかさと直接言わない表現方法もあるのではと。
45胸を張り爪先立ちて巣立鳥
飛び立とうとする巣立ちどりをよく捉えていると思います。
ことばの使い方がちょっと説明的な印象も。
51はまぐりや三面鏡を開け放す
開放的な季節、春到来!が開け放すに表れていると
思います。
はまぐりとの関係がちょっとわからないです。
58蛤や椀の飾りのりぼんかな
りぼんは蛤が蝶のように開いている様子なのでしょうか?
59巣立ち鳥見守る母に白髪増え
恐らく若いころから毎年巣立ち鳥を見守っているご母堂なのでしょう。
62見上げれば尾だけ飛び出す巣立ち鳥
もう大きくなって巣からは尾だけ飛び出ているのが見える。
ちょっと軽くなり過ぎた?
73花のもと笑いの絶えぬ友ひとり
明るい笑いはこちらの気持ちも豊かになりますね。
ああ、人の句の講評をするのは難しいです。
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●法被衣の作品
2 にぎやかな日の懐かしさ巣立ち鳥 【法被衣】
15 突然の訃報届くや石鹸玉 【法被衣】
28 太鼓打つ卒業生の笑み光る 【法被衣】
41 はま吸いの白くにごりてうまきこと 【法被衣】
15 突然の訃報届くや石鹸玉 【法被衣】
28 太鼓打つ卒業生の笑み光る 【法被衣】
41 はま吸いの白くにごりてうまきこと 【法被衣】