●歌子選 【６、１５、２０、２９、３５】
6 ふきのとう夕げの皿でわらふなり
どんな料理にしたんでしょう。
きっとてんぷらかしら。ふきのとうをみて
｢えーーこれ、たべれるの～～？｣とか
「いいから食べてみて～＾春の味がするんだから～～」
などと 笑いあっているご家族の笑顔が見えてくるよう。
ふきのとうに笑わせたところがおかしくて、思わず
私まで笑ってしまいました。
15 突然の訃報届くや石鹸玉
先日のことです。美しくて快活な親友が召されてしまいました。
やっと青森に戻ったので、そろそろ連絡しようと 思っていた
矢先でした。ほんとに突然の訃報。すぐに連絡しなかったことを
悔いて悔いて、しばらく泣きました。
今の私の心情と重なり、 しゃぼん玉との取り合わせで、命の
はかなさが 一層切なく印象づけられました。
２０ 春祭り舞の終りの巫女の笑み
神妙な面持ちで舞っていた巫女さんが、舞い終えたとたん
こぼれるような笑顔に・・
きっと、無事に舞い終えた安堵感が笑みとなったのでしょうね。
若い巫女の舞いとその最後の笑みまでを、あたたかく見つめ
ている作者の笑みまでも見えるようでした。
29 はまぐりの弾ける音や朝の市
蛤って、今まで我が家の食卓にのったこともなく、
そういえば買ったことも ないのですが、かぱかぱ
って音がするんでしょうか。蛤の音や、朝市の活気
を想像させてくれる句でした。
35 小刻みに親と円舞の巣立ち鳥
巣立ちの親子の鳥の様子が、ほんとに見えるようですね。
円舞して巣立つのはどんな鳥なんでしょうか。
鳥の種類は わからないけれど、巣立つ子を送る親鳥と、
巣立っていく小鳥の様子が、細やかに見えてくるような
句でした。円舞・・この表現が とても鮮やかで、生きていますね。
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●歌子の作品
10 お礼にと師ははまぐりに不動妙王 【歌子】
23 ここだけの話よ蛤砂を吐く 【歌子】
37 上の句が浮かばずぷわーっとしゃぼん玉 【歌子】
49 やぶれても夢つぎつぎに石鹸玉 【歌子】
60 さよならも言わず友逝く初音鳴く 【歌子】
65 親離れ子離れ天晴れ巣立鳥 【歌子】
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