顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

歌子選

②歌子選【1、10、17、33、45.50】
 
1 母を待つ幼児あやす残暑かな   
  
    子供をあずかるというのは、私の場合は孫ですが、
 
    結構精神的にも、肉体的にも大変なことなのです。
 
    早く親が帰って来て、子守から解放されたい思いと、
 
    残暑の暑苦しさとの取り合わせがとてもうまいですね。
 
    うん、そうそう、わかる!わかる!私も同じ!って
 
    共感しました。
    
 
 
10 野焼きする肌に塩ふく残暑かな   
 
    これでもかというほどの暑さが 伝わってきます
 
    野焼きという実体験のある作者ならではの作品ですね。
 
    あえて肌と言わなくても、意味は十分伝わるのでは
 
    ないか、要らぬものを省いて野焼き、塩がふく、残暑 
 
    だけでつなげたらどんな風になるか。。。など、あれ
 
    これ推敲してみるとまた楽しいかもしれません。
 
    
  
17 赤とんぼ地蔵は頭貸しおりて    
 

    地蔵様の頭に赤とんぼが止まっている・・・と
   
    そういう景なのですが、地蔵が頭を貸している
 
    という表現がおもしろいのと、口に出して
 
    読んでみると、言葉に小気味よいリズムがあって
 
    楽しい気持ちになりました。貸しおりてとわざわざ
 
    いいにくくしないで「貸してをり」とさらっといったほうが
 
    この句には似合っていると思います。
 

    

33 なでしこやあの日の母が居るような   
 

    若いころ、今頃の季節は、仕事がなくて母が家におり、
 
    裏庭で草取りや花の手入れをしている姿をよく観たもの
 
    でしたが、母が家にいると言うだけで、幸福で安定し
 
    た思いになったものです。
 
    撫子の花を見ながら、あの日の母を思い出している作者と
 
    私の気持ちが、ぴたっと重なり、母の姿が映像の
 
    ように浮かび、母に会いたくて胸がキュンと切なくなりま
 
    した。母と撫子の取り合わせがきいています。

    

45 澱む気の動き始めて三時草      

    サンジソウのことをさらりと詠んでいるのですが
 
    なかなかエンジンのかからない自分とかさなるとてもうまい句だと
 
    思いました。澱む気が動き始める。。。この推敲された言葉の表現が
 
    見事だと思いました。
 
 

50 淋しさを告ぐる術なし鰯雲   
   
    中七までの内容と、下五の季語とは何の関係もなく遠く離れて
 
    いるのですが、とても取り合わせがきいています。
 
    
    自分の今のこのさびしさを話したいのに、術がないということは
 
    亡くなった人へ、ともとれますが、もしかしたら実在する人かも
 
    しれません。しかし、住所も電話もわからない・・・
 
    そのようにして、自分の胸の内を見つめながら、一転して目を天に移して
 
    いる、その距離感が、べたっとしない奥行きのある作品にしていると思い
 
    ました。
    
 
 
    
    
    
 ♪♪・・・・♪・・・・・♪♪・・・・♪・・・・・・♪・・・・・・・♪……♪・♪・・・・・・・♪……♪
  
●歌子の作品
 
7 帯きゅっと着物で通す残暑かな【歌子】
 
20 年輪を刻む切り株赤とんぼ  【歌子】
 
37 撫子や老いの繰り言きいてをり【歌子】
 
51 津軽焼残暑の窯に焼かれをり 【歌子】