顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

つだみつぐさん選

④つだみつぐさん選 【13,17,26,34,37,44】
 

34 撫子の揺れて川面に風の見ゆ

句のまん中で画面が切り替わる。最初は風に揺れる撫子、
 
次は川。川面にはさざ波が立っている場所と立っていない
 
場所があって、風の通り道を示している。作者はやわら
 
かく通り過ぎる風を楽しみ、風を愛している。
 
 

37 撫子や老いの繰り言きいてをり

同じ話だし、聞いていて楽しい話ではない。でも、相手には
 
たぶん、その話をする必然性が、何か、あるのだろう、口を
 
挟まずに相手に寄り添うように耳を傾け続けると、向こうで
 
撫子もまた、じっと聴いてくれている。その方の人生すべて
 
を受け入れるかのように。
 
 

17 赤とんぼ地蔵は頭貸しおりて 
 
道端の地蔵に赤とんぼが羽を休めている。地蔵は、少し笑った
 
ような顔のまま、動かず、何も言わない。いつまでそこにいて
 
もいいし、いつ飛び立ってもいいのだ。
 
 
 
 
44 にがうりは恋のお味と笑いけり
 
「おばさん、これなに?」「にがうりよ、はじめて?」
 
「たぶん。あ、ちょっと苦いね。」「だって、にがうりだもの。」
 
「恋の味みたい。」「あら、知ってるの?恋の苦さ。」
 
「知らないけど。」「ふふふ。」
 
 
 

26 赤蜻蛉見る間に夜のすぐに来て

句の中で時間が経過する。さっきまで明るかった赤とんぼの舞う
 
空は刻一刻暗さを増してゆく。ああ、もう、秋なんだ。
 
 
 

13 押印の横に向いたる残暑かな
 
別のことを考えていてぼんやりして押したのか、暑いからなのか、
 
あるいはあまり気が進まない押印だったのか、まあ、押してしま
 
ったものは、仕方ないか。暑さだって、もうすぐ和らぐだろうし。
 
 
 
 
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●つだみつぐさんの作品
 
 
12 虫喰いの野菜を捨てて残暑かな【つだみつぐ】
 
23 後を見ず駅舎を出れば赤蜻蛉  【つだみつぐ】
 
29 撫子や君はふわりと微笑んで  【つだみつぐ】
 
50 淋しさを告ぐる術なし鰯雲     【つだみつぐ】