歌子選 【6、22、27、31】
6 寒月や遠くて近き放射能
事を思うと、やりきれない恐ろしさ、やりきれない申し訳ない思いになる。
寒々とした月、季語の斡旋がとても生きていると思った。
22 陰干しの母の形見のコートかな
形見のコートを陰干ししながら、母のあれこれを
思い出している。リアル句会では、特に入れなくてもいい言葉は
できるだけ省く、と言われるのですが、この場合は、誰の形見か
というのは特に入れずにその分別な語で句に広がりをもたせる
ことができるかもしれない。
27 新居地も老いし人増え落葉踏む
新居地「も」ではなくて、「の」「に」・・いいきったほうがいいように
思うのだが如何だろう。
31 外套に孤独を包む家路かな
寂しいとかわびしいとか哀しいとか切ないなどという言葉
はないのに、それらの情感がたっぷりとこめられていて、
楽しい集まりのあとなんだろうか、お酒でも飲みに行った帰り
なのだろうか、結婚式とか葬式とか、みながカップルで
帰宅するのに、この人は一人なのだろうかなどと、切なくわびしい
想像が、どこまでも続く。
想像が、どこまでも続く。
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歌子の作品
8 絡ませた指が語らふコートかな
20 幸せなことだけ数ふ銀杏落葉
20 幸せなことだけ数ふ銀杏落葉
32 子や孫に残す原発もがり笛