祥雲さん選【4、27、30、31、32】
4 ガラス戸をまあるく拭きて木の芽風
「まあるく拭きて」が効いている、木の芽を育む気持ちの
良い春風が頬に当たっている感じの良句です。
27 夢二つ三つほど秘めて桃の花
桃の節句の頃の可愛らしい乙女のささやかな夢を感じます。
大伴家持の「春の苑紅にほう桃の花下照る道に出で立つ乙女」
の歌が想起されます。
30 地の神も咆え続けたる春一番
「吠え」でなく「咆え」が効いています。「地の神も咆え続けたる」
ほどの激しい春一番が感じられる良句です。
31 土の香やふるさと遠し春彼岸
春彼岸にふるさとに帰れない辛い心情を詠った句でしょうか。
「土の香や」が情感を高めている良句です。
32 雪形の消えて群れなす北の馬
東北や北海道の、やっと雪形が消えて放牧の馬が群れを成して
草を食む景が浮かびます。馬飼い人の喜びも滲む良句です。
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祥雲さんの作品
5.おだやかな白衣観音木の芽風 【祥雲】
14.銀輪や春風受けて丘下る 【祥雲】
20.この湖を心に刻み鳥雲に 【祥雲】
29.骨拾う箸の重さや斑雪 【祥雲】
(斑雪 はだれゆき)
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