顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

第83回 10月歌子選&作品

歌子選(3.6.7.19.24.26.)

3 浮子にらみ当たり知らせる月揺れる
     月の浮かぶ凪の海で、夜釣りをしている。
     浮きが沈み、同時に水面の月がゆらっと
     揺れてあたりを知らせてくれる・・
     そんな景なのでしょうか。浮きをじーっと
     見つめているのを、「にらみ」というのは
     実感なのでしょうが、経験のない私には
     夜の海というだけでも怖いのに、にらみ・・・
     が一層その怖さを増し、そんな闇の中で釣りを
     する心境ってどんなものなんだろうって、
     知らない世界を垣間見る怖さで一杯になります。

6 月を待つ雨雲去りて岩れんげ    
     
     墨絵でも見るような句だなあとおもいます。
     ただ、言葉の並びがぶつぶつと切れるので、
     もう少し滑らかに並べ替えることもできそうな
     気もします。     
    
7 赤い月待ちわぶ顔の並びおり   
     多くの人が月食を今か今かと空を見上げ、
     赤い月をカメラにおさめたようで、フェイ
     スブックにも、たくさんの人たちの写真が
     載っていました。スーパームーンの出た夜にも、
     赤い月でしたが、それ以上に、真っ赤なという
     か赤銅(しゃくどう)色の月だったようです。
     今回数人の方々が、この日の月を詠まれました
     が、一番シンプルな表現の法被衣さんのこの句
     を選びました。
     
     
19 海峡の風は止まずや星月夜     
     海峡の風は止むことなく吹きつけているが、
     空には満天の星・・そんな景なのでしょうか。
     津軽海峡から吹く身を切る風の寒さと、満天
     の星空の音さえも聞こえてきそうです。
     
24 集落の廃屋隠す蔦紅葉      
     放射能のために人々が去って行った集落
     が目に浮かびました。廃屋となってしま
     った家を抱きかかえるかのように、蔦紅
     葉が覆っている。かつてはここに、家族
     の笑いも生活もあったのだ。何とも言えない
     切ない情のかきむしられる句でした。
     
26 歌声の聞こゆる茶房蔦紅葉           
     歌声喫茶とはどこにも書かれていませんが、
     姉たちがよく出入りしていたしゃれた歌声
     喫茶がとっさに目に浮かびました。高校生は、
     喫茶店はダメと言われていた時代でしたので
     早く大人に早くなりたいなあと憧れや夢を抱いた、
     甘酸っぱい思いの重なる一句でした。
         
     
歌子の10月の作品

地球の子こぞつて仰ぐ赤き月 【歌子】
一湾にさざめき零る星月夜  【歌子】
破れても枯れても赤し蔦紅葉 【歌子】