顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

2021年(令和3年)12月句会 選句・鑑賞・作者

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    歌 ◎法

1  光芒を掠めねぐらへ小白鳥   【祥雲】

              ◎ 牛

2  横すわりの熱燗注ぐ目の妖し  【歌子】

    歌 祥

3      友逝きて弔吟捧ぐ冬桜     【あらまち一駒】

4  猪苗代白鳥の群れ遥かなり   【法被衣】

    駒

5  白鳥や琵琶湖ブルーに数十羽  【牛郎】

    歌

6  寒夕焼け西方浄土と交信す   【法被衣】

7  手も止まりアルバム捲る大晦日  【あらまち一駒】

    

8  生きているこその四苦八苦晦日かな【歌子】

     牛  駒

9  子や孫と鋤鍋つつく大晦日   【祥雲】

   ◎祥 法

10 初産の牛の眼燃ゆる寒夕焼   【牛郎】

11 庭を掃く作務衣の僧や冬桜   【祥雲】

12 大晦日用もないのに農具小屋  【牛郎】

13 白鳥が来たいよよ来た寒が来た 【歌子】

    

14 疫病や世は静かなる大晦日  【法被衣】

15 朝一の電話まさかの寒夕焼 【あらまち一駒】

    

16 奥山に暮らす三代冬桜   【牛郎】 

17 熱燗や徳利の口をもて注ぐ 【法被衣】

    

18 旧友と熱燗徳利歌の中  【あらまち一駒】

    

19 胸の内あかさず散るや冬桜   【歌子】

    

20 寒夕焼富士の半身を染めており  【祥雲】

     

21 雲海を抱え羅臼の寒夕焼     【歌子】

22 熱燗や父は北支を語りだす    【祥雲】

23 啼き声で見上げた空に白鳥  【あらまち一駒】

     牛

24 冬桜満開なるも寒き事    【法被衣】

   

25 熱燗や喜寿の親爺のさばく鯉 【牛郎】

 
 
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      選句鑑賞
 
(1) 歌子選 【1,3,6,◎25】
 
1 光芒を掠めねぐらへ小白鳥 
  「光芒を掠め」という表現に、語彙の豊か
   さと神々しい美しさがあふれていてパノ
   ラマ映像を観ているような自然の広がり
   を感じました。
 
3  友逝きて弔吟捧ぐ冬桜
   詩吟のお仲間がご逝去されたのでしょう。
   あの独特な短調の吟詠が悲しみを深めます。
 
6 寒夕焼け西方浄土と交信す
   西方浄土と交信とはなんというたとえでしょうか。
   事件やら疫病やらで混とんとしている現実世界、その
   ごちゃごちゃしたことを忘れ去り不安やらストレスが
   清められ、鎮まるような神々しい気持ちになります。
 
◎25 熱燗や喜寿の親爺のさばく鯉
   鯉をさばく77歳の爺の太い指、うろこの飛び散る音、
   熱燗の匂い 五感のすべてをくすぐる好きな句です。
   私ごとながら、父を心から懐かしく思い出しました。

 

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(2)祥雲選  【3,◎10,14,16】

 

3 友逝きて弔吟捧ぐ冬桜

  弔吟はしませんでしたが、同じような経験をしたことが

  あるので、共感の選です。

   遺影が温顔で、まるで冬桜のようでした。

 

 

◎10初産の牛の眼燃ゆる寒夕焼

   目の付けどころの極めて斬新な句です。牛のお産に二度

   ばかり立ちあったことがあるので、共感の選です。 

   牛が目に涙を一杯浮かべて、牛舎に差し込む寒夕焼けに

   対している様子が生き生きと表現されています。

 

 

14 疫病に世は静かなる大晦日

   コロナ禍の今どきの状況を感慨深く詠み込んだ良句です。

 

 

16 奥山に暮らす三代冬桜

   奥山に暮らす実家の兄は九代目ですが、しみじみとした

   感慨の籠った良句です

 

 

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 (3)牛郎選 【◎2,9,18,24】

 

◎2、横すわりの熱燗注ぐ目の妖し

   初めて連れて行って貰った料亭の芸者さんを思い出しました。

 

 9、子や孫と鋤鍋つつく大晦日

   家族団らんがよろしいようで。

 

 18、旧友と熱燗徳利歌の中

   「歌の中」いろいろ想像させて貰いました。

 

 24,冬桜満開なるも寒き事

   心温まる花に感激。

 

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(4)あらまち一駒選【5、9、◎19、21】

 

5  白鳥や琵琶湖ブルーに数十羽

白とブルーのコントラストが際立って綺麗

 

9  子や孫と鋤鍋つつく大晦日

幸せが来年にも続く希望に満ちている

 

◎19 胸の内あかさず散るや冬桜

突然に散る桜にリンクする哀しさが伺われ好きな句

 

21 雲海を抱え羅臼の寒夕焼

    壮大な北海道羅臼の海山が目に浮かぶ

 

 

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(5)法被衣選【◎1,8,10,20】

 

◎1  光芒を掠めねぐらへ小白鳥

 

日は西へ傾き、一線の光の中飛び去る白鳥の群れ。雄大な景色。

 

8  生きているこその四苦八苦晦日かな

晦日といえば除夜の鐘。百八つの煩悩の中を生きる苦しみを

味わえる楽しみを噛みしめたいです。

 

10 初産の牛の眼燃ゆる寒夕焼

牛の眼に映るまあるい夕焼け、眼の付け所が面白いです。

 

20 寒夕焼富士の半身を染めており

なんとも劇的な光景。