選 句
◎法 歌
1 新緑の風も馳走や野の昼餉 【祥雲】
2 夏の夕ダイヤモンド岩木山 【一駒】
3 新緑や帰路の電車は最終便 【牛郎】
4 新緑や車ひとりの旅企画 【歌子】
◎駒 ◎牛 歌
5 新緑の重なる青に青や青 【法被衣】
祥
6 夏めくや縄文遺跡今も燃え 【一駒】
7 夏めくや腿の青アザ気になりて 【牛郎】
駒 祥 牛
8 夏めくや白く塗りたる古き椅子 【歌子】
9 店番の居らぬたばこ屋夏めきぬ 【法被衣】
10 瑠璃色の地球よ永久に聖五月 【祥雲】
祥 法 歌
11 夏場所や波打つ腹へ懸賞金 【牛郎】
12 夏場所やカランコロンと下駄往来 【歌子】
13 夏場所や歓声溜息居間に満つ 【法被衣】
駒 牛
14 老人のヨットの旅や青嵐 【祥雲】
法
15 新緑や朝練の声天高く 【一駒】
16 木地師小屋軋みて開く青嵐 【牛郎】
17 五月雨や寄れば生老病死のこと 【歌子】
18 青嵐(あおあらし)栃の並木の高さかな 【法被衣】
19 木道の夏めく尾瀬の歩荷(ぼっか)かな 【祥雲】
20 青嵐ガイドの声も点滅す 【一駒】
◎祥 法 ◎歌
21 田植え終へ檜の風呂に身をほどく 【牛郎】
駒
22 夏場所や墨田の風に下駄の音 【祥雲】
24 白靴や筋トレゆるりデーサービス 【歌子】
牛
25 ネモフィラの丘の支える空の青 【法被衣】
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選 句 感 想
- あらまち一駒選 【◎5,8,14,22】
◎5 新緑の重なる青に青や青(◎)
色とりどりの青のグラデーションが美しい
8 夏めくや白く塗りたる古き椅子
思い出に浸って日光浴しながらウトウト睡魔に
14 老人のヨットの旅や青嵐
81才が若い頃の「太平洋独りぽっち」を人生に締め括りに逆コースで太平洋横断ヨットに出たニュースを思い出す
22 夏場所や墨田の風に下駄の音
まさにそうの通り夏場所
- 祥雲選 【◎21,6,8,11】
◎21 田植え終へ檜の風呂に身をほどく
中句、結句に作者の心情が良く伝わってきます。
6 夏めくや縄文遺跡今も燃え
縄文の火焔土器の燃えるような文様は強烈な印象があり、季語に合っていると思
います。
8 夏めくや白く塗りたる古き椅子
古き椅子も白く塗られて、夏めいている感じが巧みです。
11 夏場所や波打つ腹へ懸賞金
字余りが気になるところではあるが、現実感があり、斬新。
牛郎選【◎5、8、 14、 25、】
◎5、新緑の重なる青に青や青 新緑の季語が生かされた素敵な句気に入りました。
8、夏めくや白く塗りたる古き椅子
今求められていることに通じます。
14,老人のヨットの旅や青嵐
堀江さんを詠まれたのでしょうか。
25,ネモフィラの丘の支える空の青
ネモフィラは近頃各地に名所が出来ました。
- 法被衣選 【◎1.11.15,21】
◎1 新緑の風も馳走や野の昼餉
あ~実に気持ちのよい季節!
外で弁当を広げるのびのび感満載です。
11 夏場所や波打つ腹へ懸賞金
ちょっと滑稽な描写ですが力相撲に勝って手刀を切る力士の光景が浮かびます。
15 新緑や朝練の声天高く
校庭の野球部の高校生たち?の声が聞こえてくるようです。
天高く、で視線が新緑の梢の先の青空に導かれます。
21 田植え終へ檜の風呂に身をほどく
きつい労働を終え風呂に浸かる解放された身と心、
「身をほどく」が効いています。
檜の香りも心地よさを倍増。湯があふれてこぼれる瞬間のシアワセ。
歌子選 (◎21、1,5,11,)
◎21 田植え終へ檜の風呂に身をほどく
「檜の風呂に身をほどく」とはなんと美しくまたうまい表現でしょう。田植えの
疲れが檜ぶろにほろほろとほどけて癒されていくのが実感でき、こちらの五感
にも気持ちよく働きかけられる素晴らしい句だと思います。
1 新緑の風も馳走や野の昼餉
新緑の風がご馳走なんですよね。美しい季節の到来。今の青森がまさにそんな時
期なので、晴れ間を見つけては合浦公園に足を運んで、ご馳走をいただいていま
す。しあわせな気持ちにさせてくれる句です。
5 新緑の重なる青に青や青
様々な緑色が重なり合っている新緑の季節にしか味わえない色
合いの美しさを「青に青」と、こんな表現の仕方もあったか
と!
11 夏場所や波打つ腹へ懸賞金
なんともユーモラスに感じてしまいます。秋場所にでも、春場所にでも使えそう
ですが、夏場所がぴったり似合ってます。