法被衣選 【 33.5.19.36.17 】
●33田植えおえ童話のごとき空と山
田んぼにうつる夕景?青空?いずれにしてもここには
ことばでは言い表せない美しい世界が広がっています。
仕事を終えた充足感も伝わってきます。
●5打ち水やえいとぞ放つわが憂い
何となくぼんやりではなく、気合が入ったうち水。
単なる現象ではなく心象が詠み込まれている句だと思います。
●19オープンカージャズを飛ばして夏の海
開放感満点です。実に爽快です。
夏の海のオープンカーは結構暑いんですけどね。
●36からみつく細い命のごうやかな
ごうややへちまのバネのような弦、
びよよよ~んという音が聞こえてきそうです。
その光景が細い命という表現で目の当たりに浮かんできます。
●17幼子と貝慈しむ夏の海
波打ち際の砂浜。しゃがんでみるきれいな海と大きな空。
誰しも記憶の中にある光景のような気がします。
その他気になった句
1 早起きの庭に打ち水恩師来る
礼を尽くして恩師を迎える、そんな風景でしょうか。
打ち水をするところは露地かな?とか考えてしまいました。
21鮎を食ふさあて六十路の折り返し
鮎も一年の折り返しあたりがシーズンですね。
語呂が不思議と心地よいです。
3少年の水打つ柄杓ほうり投げ
これはすっぽ抜け状態?でしょうか?
13夏の海ビキニが似合う頃もあり
夏の海ビキニが似合う頃ありき?と回想中?
14山越して目に付き刺さる夏の海
峠を越えた瞬間に眼前に広がる海の景色。
付き刺さるの表現がちょい過激でしょうか?
24名物の鮎飴色に炊き上がり
実にうまそうです!思わずごっくん。
27しなやかに人形夢見鯉泳ぐ
鯉ではなく鮎?ちょっと状況が不明です。
その他ストレートに詠んだと感じる句がけっこうあったように思います。
私にとって俳句はことばの写真。
写真も何を撮るのか、意志を持ってシャッターを押す場合が多いと思います。
兼題は写真のテーマ、どう写し込むかは毎回悩みの連続ですが、
それが実に楽しく、生活を豊かにしてくれていますです、はい、くっ^0^)
・・・いろいろ生意気言って申し訳ありません。
法被衣作
7打ち水や鼻緒濡らして泣く子かな【法被衣】
25鮎焼ける間合いを埋めし川の音【法被衣】
15夏の海尻濡らしつつ子守かな【法被衣】
35薄闇に額あじさいの時満つる【法被衣】
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