●歌子選 (3,7,31,42、46)
3,書いてすぐ閉じた日記の鳳仙花
日記を書き出したのに、すぐ閉じた気まぐれさと
触るか触らないうちに種がはじけ飛ぶ鳳仙花との
連想させる動き、取り合わせがすばらしいと思いました。
7、枝豆を買って家路急ぎ足
枝豆といえば、青森なら さながら毛豆・・・毛豆は普通の
枝豆と違ってこくがあってうまいんですよ~~。
早くかえってゆでて、冷たいビールと・・・・そんな思いが伝わってきました。
でもね、「家路」「急ぎ足」と ここまで詳細に表現しきらなくても
いいような気がしました。
31、枝豆や無我の境地で頬張りし
無我の境地って言うのが目に見えるようですね。
ただ、自分の作品を棚に上げての批評ですが、別に「や」とか
「し」と無理に難しくしなくても
枝豆を無我の境地で頬張りぬ とすんなり詠まれたほうが、
声を出して読んだときに、がくがくせず滑らかでよいように思いました。
42、想い出や母を見送る鰯雲
上五の表現がちょっとひっかかりましたが、「母」と「鰯雲」
のあまりにもうまい取り合わせに、思わずいただいてしまいました。
46、蝉ひとつ望み遂げたか灼けた道
灼けた道に蝉の抜け殻。。。長い雨季のような日々が続いてついぞ蝉の声も
聞けなかったようなきがしたが、暑い日がほんの数日だけつづいて、蝉もやっと
時が来て子孫を残せたのだろうな、あーーよかった。
望み遂げたか・・・蝉の抜け殻を見てこんな表現が出て
くるところがすごいなあと思いました。
★気になった句
17 ひまわりがみな見上げてる入道雲
これは写真でも見ているようなすごくきれいな句で、気に入ったのですが
ひまわりと入道雲と、季語が二つだったのですよ~。白い雲・・だけでも
よかったのになあ。
● 歌子の作品
2 弾ければ六十路かるがる鳳仙花 【歌子】
12 弾けきれぬ身を持て余す鳳仙花【歌子】
21 力尽き日照不足の枯れ枝豆 【歌子】
30 退院の8月の空晴れ渡る 【歌子】
38 写生会緑陰に皆集まりぬ 【歌子】
48 秋の雲集めて蒼し八甲田 【歌子】
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