今回は皆さんの句にできるだけ一言を添えてみました。
本来は全部にコメントつけたいのですが、そこまで根性ありませんでしたあ。
ごめんなさいです。
●法被衣選【38、 46、 7、 13、 14】
38.飛び入りのこおろぎそっと部屋の隅
部屋の中に迷い込んだ、迷い出た?こおろぎ、ことさら鳴き声が
大きいです。
マンション住まいでは味わえませんが、平屋の時はそんな事が
ありました。
ちいさなこおろぎに対する”愛”を感じます。
46.職退きて秋の夕ぐれ駅に立ち
ことさら秋の季節が人を感慨深げにしてしまいますね。
通勤時代を懐かしんでいるのか、ちょっぴりやるせないのか・・・。
どんな気持ちで駅に立たれていたのでしょう。
7.新米に思い出してと宅急便
新米を宅急便で故郷を離れた人に送る。
息子さんなのか、娘さんさなのか、親心と里を持つ人の
心情が伝わってきます。
13.父となる子の腕太し秋の暮
赤ちゃんを抱いた男親の二の腕の逞しさを想像します。
子ができる事で人は逞しさや優しさを増す、それを見
ている方もいろいろ考える秋。
14.悪の華咲かせたころの吾亦紅
自伝的俳句でしょうか?(笑)
若い頃を懐かしみつつ現在の落ち着きぶりが詠み込ま
れているような印象でどことなく茶目っ気を感じます。
■なぜか選外になってしまった句
43鞦韆のゆらり揺られて吾亦紅
鞦韆読めませんでした。検索してブランコと判明。秋千
とも書くらしいです。 鞦韆が読めるとなんとなくいい感じです。
57.こおろぎの問わず語りを湯屋に聴く
風呂にのんびり浸かりながら聴こえてくるこおろぎの鳴き声。
木の桶、裸電球の時代にタイムスリップしました。
昔は風呂場にもこおろぎがいましたっけ。
23.吾亦紅すっくと立つ修羅の後
人は修羅場をくぐりぬけ、眼前の吾亦紅は泰然としている。
我もこう、ありたいと。
中句が字足らずなのがどうかと。
12.こおろぎの草より仰ぐ理想郷
こおろぎの視点から世を見たところが新鮮に感じました。
理想郷が何を示すのか・・・。
■その他気になった句
54.北向きの窓は深々碧き空
順光の空はどこまでも青く見えますね。
日を受けて輝く木々や家々の屋根もくっきり浮かんできます。
58.こおろぎの声を便りに帰り道
帰宅途中、歩く先々後々でこおろぎの鳴き声。
私も同じ状況を詠もうと思いましたが句になりませんでした。
5.新米や開ければふるさと匂うかな
うれしい新米の匂い、ありますね。
ふるさとから届いた歓びひとしおでしょう。
7.の事後談のようです。
中句の字余り、下句の、かなが気になりました。
動詞であれば匂うなり、でしょうか?
17.日中のこおろぎの背に落ちる汗
こおろぎは夜が普通ですが日中の姿ということで面白い
視点だと思いました。
草刈でしょうか、こおろぎがあわて逃げ惑う姿が浮かびます。
9.新米の香りにひかれ朝目覚め
炊飯のいい香り、日本の朝の風物詩ですね。
あ~、いい香りだあ、と目覚めた後は
新米の香りにひかれ床を出る
ことになりそうです。
10.新米を研ぎつつ思う水加減
新米はちょっと固めが私は好きであります。
水加減でせっかくの新米がだめになっちゃうので気を使いますね。
11.新米の吹きこぼれたる香りかな
炊き上がるのが待ち遠しい瞬間。
おこげもおいしいですね~。
15.色あせてみえる野末にわれもこう
自分を重ねあわせている?いやいや、まだまだ。
16.無縁墓地ひっそり揺れる吾亦紅
無縁墓地はそれだけでひっそり感があります。
ひっそりの代わりにもっと言葉を捜せるかも知れません。
例えば、かすかに揺れり、とか。
29.秋深し事を肴に酔っ払い
秋という事だけで酒に親しんじゃう、とにかく飲みたいという
事でしょうか^0^)
深しで切れているので、事につなげるなら秋深き事を肴に、
でしょうか。
36.こおろぎのだんだん遠くなる夕日
夕日が落ちて行くにしたがってこおろぎの鳴き声が近くなる
ような気もしますがこれはどういう状況なんでしょう?
50.あと出しのチョキにしたそな菊の花
殆どの菊がパーの中、チョキの花も混じっていたのでしょうか。
咲き始めは皆グーなのかも^0^)
52.溜息を歌に託せやちちろ虫
ちちろ虫がこおろぎの別名と初めて知りました。
勉強になります。(って兼題者のいうことか?申し訳ありませんっ)
以上、皆様の俳句、毎回楽しませていただいております。感謝。
第23回 法被衣の作品
8.遠き道振り返りてや吾亦紅 【法被衣】
19.新米を炊いてぐるりの笑顔かな 【法被衣】
30.新米に両手合わせて夕餉かな 【法被衣】
41.本を閉じふとこおろぎの鳴き止みし 【法被衣】
56.カラス二羽秋の夕暮れ空を行く 【法被衣】
59.駅弁の箸休めてやいわし雲 【法被衣】