歌子選 【2, 6, 12, 14 23】
2 童去り手袋ひとつ雪まつり
雪祭りは大人にも子供にも共有できる楽しさがあります。
忘れ物の手袋が片方だけ、大きな雪だるまさんに?あるいは
雪灯籠の傍らに?乗っかっています。手袋ひとつに焦点を合わせたところが
うまいと思いました。
6 雪まつり母の童心目覚めさせ
60過ぎたいまでも、子どもと混じって雪の大きな坂を、タイヤに乗って
滑りたい、そりに乗りたい、そんな衝動がわき上がります。小さかった時の
楽しくて仕方のなかった体験が、蘇るんですよね。『母』と現在の自分が
重なりました。母の童心目覚めさせの着眼がいいと思いました。
12 ならぬことはならぬの教へ大吹雪
上五中七と、季語の吹雪とは 遠くかけ離れているのですが、
『いけないことはいけないのです』と昔からの教えを、思い出させるかの
ような吹雪。雪国では、大吹雪という表現よりも、猛吹雪というほうが
ピンときますが。
14 露天風呂吹雪の中に顔三つ
思わずぷぷって笑ってしまいました。吹雪の中の露天ぶろはほんとに
気持ちがいいものですが、お湯に浸かっている部分だけです。他はあまり
にも寒いので、一度お湯にはいあったら、もうなかなか抜け出せません。可
笑し見のある句ですね。
23 雲水の素足に草鞋日脚伸ぶ
雲水僧の素足に着眼したとは、驚きました。
素足はさむかろにと思いながら見つめていた作者のやさしさが、
にじんできます。句を作る時、悩むのが助詞の使い方。
素足に がいいか、素足の がいいか、素足は がいいか。。
この一語の使い方ひとつで、句が違ってきますね。
♪♪・・・・♪・・・・・♪♪・・・・♪・・・・・・♪・・・・・・・♪……♪・♪・・・・・・・♪……♪
歌子の作品
8.歌子
⑧豊作の夢積み上げて雪祭 【歌子】
⑯津軽女の覚悟きっぱり吹雪舞ふ 【歌子】
⑳方言の行き交ふている露商かな 【歌子】