歌子選 (5,6,9.20,23)
5夕暮れの時を止めたる額紫陽花
額紫陽花の美しさはまるで夕暮れの時を留めているかのようだ
というか、あまりの美しさに、夕暮れ時に時を忘れて魅入って
というか、あまりの美しさに、夕暮れ時に時を忘れて魅入って
いるという景にちがいない。いずれにしても、夕暮れの時を止め・・
という詩情を感じさせる表現が素敵です。
6 紫陽花の色を留めて人に逢ふ
人の心は変わりやすく、不実に満ちているものだが、
紫陽花の一瞬一瞬の色が真実の色であるように、私が
あの人に向き合う今の思いは、嘘のない純粋な思いな
のだ・・・何かドラマを想像させる一句でした。
心地のいい風が吹く草原・・すぐ浮かんだのが、八甲田の
麓の萱野茶や高原。
嬉嬉として駆け回る子供の様子が目に見えるようです。
嬉嬉として駆け回る子供の様子が目に見えるようです。
20 甚平や年に一度の江戸情緒
江戸時代、甚平は「甚兵衛羽織」の略で「甚兵衛という
名の人が着ていたことから」という起源説もあるが、
江戸末期に庶民が着た「袖無し羽織(そでなしばおり)」
に形が似ていたことから」という説のほうが強いとされる。
古老によれば、筒袖となって普及したのは大正時代。
大阪であったという・・・とあります。甚平を着ることで、
大阪であったという・・・とあります。甚平を着ることで、
江戸情緒を味わう、という着目なのでしょうか。
23 新緑の色を足したる通り雨
「新緑の色を足した」 という表現に工夫と詩情が感じ
られ、また、通り雨という一瞬の刹那に、情景が印象づけ
られます。シンプルでシャープ、見事な一句だと思いました。
歌子の作品
8 額紫陽花北へ北へと鉄路伸ぶ 【歌子】
16 水無月の湖底に眠る村ありて 【歌子】
24 沼一つ凛と咲き満つ花菖蒲 【歌子】
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