顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

第79回 6月 歌子選&作品

 
 
歌子選  (5,6,9.20,23)

 
 
5夕暮れの時を止めたる額紫陽花 
 
  額紫陽花の美しさはまるで夕暮れの時を留めているかのようだ
  というか、あまりの美しさに、夕暮れ時に時を忘れて魅入って
  いるという景にちがいない。いずれにしても、夕暮れの時を止め・・
  という詩情を感じさせる表現が素敵です。
 
 
6  紫陽花の色を留めて人に逢ふ    
    
    人の心は変わりやすく、不実に満ちているものだが、
    紫陽花の一瞬一瞬の色が真実の色であるように、私が
    あの人に向き合う今の思いは、嘘のない純粋な思いな
    のだ・・・何かドラマを想像させる一句でした。
 

9 水無月の草原駈ける童子かな
          
    心地のいい風が吹く草原・・すぐ浮かんだのが、八甲田の
    麓の萱野茶や高原。
    嬉嬉として駆け回る子供の様子が目に見えるようです。 
   
 
20  甚平や年に一度の江戸情緒 
    江戸時代、甚平は「甚兵衛羽織」の略で「甚兵衛という
    名の人が着ていたことから」という起源説もあるが、
    江戸末期に庶民が着た「袖無し羽織(そでなしばおり)」
    が、「武家の用いた陣羽織(陣中で鎧・具足の上に着た上着
    に形が似ていたことから」という説のほうが強いとされる。
    古老によれば、筒袖となって普及したのは大正時代。
    大阪であったという・・・とあります。甚平を着ることで、
    江戸情緒を味わう、という着目なのでしょうか。

    
23  新緑の色を足したる通り雨 

    「新緑の色を足した」 という表現に工夫と詩情が感じ
     られ、また、通り雨という一瞬の刹那に、情景が印象づけ
     られます。シンプルでシャープ、見事な一句だと思いました。

 

歌子の作品 


8 額紫陽花北へ北へと鉄路伸ぶ   【歌子】
16 水無月の湖底に眠る村ありて   【歌子】
24 沼一つ凛と咲き満つ花菖蒲    【歌子】