顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

第146回2月句会 選句・鑑賞・作者

    牛 駒 法

1  印むすぶ菩薩の指に春の風  【祥雲】

    祥 歌 法

2  血だらけの顔上げもどる恋の猫【牛郎】

    ◎歌 つ

3 何時になるコロナ征伐春彼岸  【一駒】   

   ◎牛 歌

4        建国記念日猫寝息たてており【法被衣】 

    ◎祥 ◎駒 法

5        臥して知る夫の気配り春の暮 【歌子】

    歌 

6      春浅し詩人に成れない鳥も居る【つゆき】   

    牛 駒

7  ビバルディの四季聴く朝や春浅し【歌子】

    ◎つ

8         曇り行くフロントガラス春浅し【法被衣】

9         モゾモゾと退職願い春浅し  【一駒】

10        寄せ豆腐掬う手に湯気春浅し 【牛郎】

    つ

11        浅春や伊豆の湯宿の山のもの 【祥雲】

     

12 若鮎は遡上す一葉流るるまま  【歌子】

13     追さで漁小鮎たばしる鳥の羽根 【牛郎】  

14      若鮎や座興に歌ふ演歌かな  【つゆき】

     牛 歌 ◎法 つ 

15 魚道(うおみち)に煌めき群れる小鮎かな 【祥雲】  

     祥 駒

16          若鮎を指さす子らも元気なり【法被衣】

17          若鮎や釣り解禁日先の先  【一駒】

18          川の辺のあんよの音や黄水仙【祥雲】

     祥 つ

19          何事もなきこそ嬉し黄水仙  【歌子】

     

20   空仰ぎ群れて首振る黄水仙  【一駒】

     

21         黄水仙流れに沿いて凛と立つ 【法被衣】

     駒

22      モナリザのごとほほ笑む遺影黄水仙【牛郎】

23       黄水仙花瓶の水が腐り出し   【つゆき】

 

 

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選句鑑賞

①祥雲選 【2、◎5、16、19、21】

2 血だらけの顔上げもどる恋の猫

   想像するだけでもその激しさが感じられる実体感の良句です。

◎5 臥して知る夫の気配り春の暮

  夫婦愛の極みのような、素晴らしい、しみじみとした温かみのある良句です。

16 若鮎を指さす子らも元気なり

   ぴちぴちと元気な若鮎と子供達の様子が感じられる良句です。

19 何事もなき事嬉し黄水仙

    疫病や戦争などの無い、平穏無事が何よりだという句でしょうか。同感です。

21 黄水仙流れに沿いて凛と立つ

    実感できる、素直な描写の良句です。

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②牛郎選【1、◎4、7、15、20、】

1印むすぶ菩薩の指に春の風         

待ちに待った春と穏やかな菩薩像に共感。

◎4建国記念日猫寝息たてており       

建国記念日の意味は判りませんが祭日である事に喜びを感じます。

7ビバルディの四季聴く朝や春浅し      

高2の孫娘毎日練習をしています。

15魚道に煌めき群れる小鮎かな       

琵琶湖の春の風物詩です。

20空仰ぎ群れて首振る黄水仙        

花が絵本に出て来る天使を想像します。    

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③あらまち一駒選【◎5、1、7,16、22】

5、 臥して知る夫の気配り春の暮(◎)

新婚時代の初々しさが感じ取れる 

1、 印むすぶ菩薩の指に春の風

埃も風に飛んで爽やか

7、 ビバルディの四季聴く朝や春浅し

春の交響曲が聴こえてきます

16、 若鮎を指さす子らも元気なり

兎に角元気が伝わる

22、 モナリザのごとほほ笑む遺影黄水仙

遺影も嬉しがってる 

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④歌子選【2、◎3,4、6、15】

2血だらけの顔上げもどる恋の猫   

 どうして血だらけになったのだろう。ライバルがいて恋人をめぐって戦ったのだろう。「顔上げもどる」に、ライバルに勝ち、思いを果たせて大満足したのだろうか、などと、あれこれ猫たちの物語を思いめぐらしました。

◎3    何時になるコロナ征伐春彼岸    

なかなか長期戦になりそうですね。目に見えないウイルスと人類との闘い、春彼岸の季語がとても効いていると思います。

4        建国記念日猫寝息たてており    

口に出してみると、575でもなく17音でもなく、リズミカルにいかないのですが、字面だけで見ると全く違和感がなく、平和なひと時に誘い込まれるのが不思議です。

6         春浅し詩人に成れない鳥も居る  

詩心のない自分を揶揄しているものか、何のことを言っているのか、よくわからないのですが、詩人になれない鳥というフレーズが面白いと思いました。

15 魚道(うおみち)に煌めき群れる小鮎かな  

魚道に群れて勢いよく遡上しようとしている小鮎の様子が、目に見えるようです。

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⑤法被衣選【1,2,5、12,◎15】

1印むすぶ菩薩の指に春の風

穏やかな光に包まれて佇む菩薩像、平和であって欲しい光景です。

2 血だらけの顔上げもどる恋の猫

猫のバトル、痛々しいけれどどこか逞しい。

頑張れと言いたくなっちゃいますね。

5 臥して知る夫の気配り春の暮

看病される側になって平常時は不愛想?旦那さんの思わぬ優しさが。

12 若鮎は遡上す一葉流るるまま

破調が若鮎の躍動感を捉えています。反対方向に葉が流れ下るという着想の面白さ。

◎15魚道(うおみち)に煌めき群れる小鮎かな

若鮎の遡上を活写しています。

選外

22モナリザのごとほほ笑む遺影黄水仙

穏やかな表情の遺影

中七の字余りが気になります。

モナリザのごと笑む遺影黄水仙ではどうでしょう。

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⑥つゆき選 【3、◎8、11、15】

3            何時になるコロナ征伐春彼岸

時事的な話題がいいと思いました。

◎8         曇り行くフロントガラス春浅し

曇って行くフロントガラスと浅い春との相性がいいと思いました。

11          浅春や伊豆の湯宿の山のもの

山のものと言えば、山椒、ワラビなどでしょうか。

15          魚道(うおみち)に煌めき群れる小鮎かな

「鮎」と言う夏の季語の春ヴァージョン。落ち鮎ともなれば秋の季語。魚道も煌めいて居る様でした。

19          何事もなきこそ嬉し黄水仙

事なかれ主義とはまた違った意味で、静かではあるが、積極的なものを感じます。黄水仙の静謐さともシンクロして居ると思いました。