番号 作品
法
1 一輪車の少女の肌や緑さす 【祥雲】
牛 駒
2 三密を避けて一人の復活祭 【歌子】
3 手に重き銀のナイフや春の宵 【牛郎】
歌
4 初蝶の高く飛びたり昼餉前 【法被衣】
牛 歌
5 疫病に閉じ込められた春の宵 【一駒】
祥 法 駒
6 緑さす居間遠隔の授業の児 【歌子】
7 春宵や伊豆の湯宿の朱塗り椀 【祥雲】
8 新緑や院を閉ざさる母遠し 【牛郎】
9 新緑やマスク外して深呼吸 【一駒】
10 窓越しの新緑屋内暗し 【法被衣】
11 何処に行く緊急事態鯉のぼり 【一駒】
12 店頭の独活の眺めるレジの列 【法被衣】
13 葱坊主打ち払ひたる篠芽竹 【牛郎】
祥 牛 法 駒
14 遊楽を断たれ灯もなき春の宵 【歌子】
歌
15 この地球(ほし)を覆う疫病鬱の春 【祥雲】
◎祥 ◎歌 ◎法
16 畔塗りや地下足袋乾く立ち話 【牛郎】
17 ウィルスの来襲に耐ゆ春の宵 【法被衣】
18 閉門で鴨に見られて咲く桜 【一駒】
◎駒
19 縦横に空を切り裂く燕かな 【祥雲】
祥 ◎牛
20 終息の見えぬコロナ禍春愁い 【歌子】
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選 句
祥雲選 【6、14、16、20】
6 緑さす居間遠隔の授業の児
現況が巧く表現されていて、季語が生きていると思います。
14 遊楽を絶たれ灯もなき春の宵
現況が巧く表現されていて、「灯もなき春の宵」が良いと
思います。
◎16 畔塗りや地下足袋乾く立ち話
畔塗りをしたことがあるので、大いに共感できます。
地下足袋が乾くほどコロナの話などで立ち話が長引いている
のかも。
20 終息の見えぬコロナ禍春愁い
現況を巧く表現した良句です。
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牛郎選 【2、5、14、◎20】
2、三蜜を避けて一人の復活祭
先週集落のお寺で行われる中陰百万遍数珠繰り行事が
コロナ禍で中止になりました。
5、疫病に閉じ込められた春の宵
楽しみにしていた爺会も中止になりました。
14、遊楽を断たれ灯もなき春の宵
高齢者の楽しみ外食、お店が休みで仕方が有りません。
◎20、終息の見えぬコロナ禍春愁い
政府の判断間違えか?早く収まって欲しいものです。
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歌子選 【4,5,15,16】
- 4 初蝶の高く飛びたり昼餉前
- いま、外出ができにくい状況なだけに、ひらひらと春の風 に浮かれて飛んでいる初蝶の自由さに心奪われます。
- 5 疫病に閉じ込められた春の宵
- 疫病に閉じ込められたとの表現がぴったりすぎる今年の春。
- 15 この地球(ほし)を覆う疫病鬱の春
- この地球という一言で、今の状況を言い表しています。 長い人類の歴史をたどると、時々得体のしれない疫病の蔓延 に苦しめられた時代が幾度かあるようです。その都度乗り越えてきていますか、世界中が情報交換しあいながら、乗り越える日がきっと来ると信じてはいますが、なんとも気の重い日々です。
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法被衣選【1、6、14、◎16】
1 一輪車の少女の肌や緑さす
動きや光が見えてきます。自粛ムードの中、明るい一句。
6 緑さす居間遠隔の授業の児
当世自宅待機の光景。子も親もストレス溜まる新コロナ、です。
14 遊楽を断たれ灯もなき春の宵
こちらも外出自粛でやるせない街の様子。
遊楽は不要不急なのかちょっと。
◎16 畔塗りや地下足袋乾く立ち話
光景が映像として広がります。
爽やかな風や日差しも感じられ、時間経過も描かれている秀句です。
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あらまち一駒選【2,6,14,19】
2 三密を避けて一人の復活祭