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浅春やもぐらの塚の潤みたる 特選 (法被衣選) ★もぐらも冬眠から覚め活動開始。
潤みたるが美しい。
並選(歌子選)
★もぐらの塚が潤むとは、眠っていたモグラの躍動、大地の息吹が感じられ、感動的です。 |
【祥雲】 |
2 | 春浅し波の引く間にふ海苔採る | 【歌子】 |
3 | 地域枠合格通知春浅し | 【あらまち一駒】 |
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琵琶マスの雨後の溯上や春浅し 並選(祥雲選) ★季重なりではあるが、みずみずしい景の描写が素敵です。
特選(歌子選) ★琵琶ますって、琵琶湖周辺にしか生息しない魚だとか。 北海道のほうで釣れるサクラマスとかと似ているのでしょうか。産卵の後は一生そこに住み続けるのだとか・・・なんだか琵琶ますの神々しさや命の継承のための様子が美しく描写されていて、とてもいい句だと思いました。
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【丑郎】 |
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春浅し行き交う人の襟たてて
並選(丑郎選) ★季語に合う光景浮かびます。
並選(あらまち一駒選) ★春になってもまだ寒いを襟立てる動作で窺えて良い |
【法被衣】 |
6 | 軽々とゆかぬ苛立ち春スキー | 【祥雲】 |
7 | 仮病にて急遽すっ飛び春スキー | 【あらまち一駒】 |
8 | 木曽檜葉の樹林ぬけ行く春スキー | 【丑郎】 |
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春スキー温泉宿の昭和かな
並選(あらまち一駒選) ★スキーは昔ほど人気のスポーツでない事を象徴するが昭和的宿に疲れもすっ飛ぶ
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【法被衣】 |
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雪の無きゲレンデ閉鎖春スキー ★並選 (丑郎選) 今年の暖冬にスキー場は閑古鳥。
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【歌子】 |
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下萌やチュッパチュッパと搾乳機 特選(祥雲選) ★乳牛の乳首に嵌められた自動搾乳機の動きがいききと描写されていて良い。オノマトペも適切な斬新な句。
★並選(法被衣選) テレビでしか見た事ありませんが、搾乳機のリズミカルな動き、
子牛が乳を吸う動きを再現しているのでしょうか。
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【丑郎】 |
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下萌えや能登の瓦礫を持ち上げる ★並選(丑郎選) 復旧作業の遅れが気になります。がんばれ能登半島。
★特選(あらまち一駒選) 能登半島地震にも復興の兆しが見え出してる様だ
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【歌子】 |
13 | 下萌の淡き緑の牧場かな | 【祥雲】 |
14 | 下萌や石灯籠の下周り | 【あらまち一駒】 |
15 | 下萌や畔に命のカーペット | 【法被衣】 |
16 | ゴンドラが春三日月を乗せて来ぬ | 【祥雲】 |
17 | こつこつと春三日月の通夜の道 | 【あらまち一駒】 |
18 | 春三日月霊仙岳の肩に出ず | 【丑郎】 |
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人を獲る漁師になれや春三日月
★並選(法被衣選) 仕事の本質と新人にエールを贈る春先の描写、お見事。
★並選(あらまち一駒選) 月に祈りを込めている
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【歌子】 |
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何を盛ろ春三日月の皿の上
並選(祥雲選) ★心情を素直に詠んだ句。何も盛らないで、皿に写った三日月を見るだけでいい。
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【法被衣】 |
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その中に農業志願卒業す 並選(法被衣選) ★土に生きて行く若者の輝く顔が見えるようです。
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【丑郎】 |
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祖母の手で端切れ綸子も吊るし雛 並選(祥雲選)
★端切れ綸子で作られた吊るし雛を見ながら、祖母の愛情をしみじみと感じている作者。
並選(歌子選) 雛飾りとは縁も余裕もなく男みたいに育った私には、其れが端切れで作った雛飾りであろうとなんとも華やかで豊かさを象徴しているように思えます。
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【あらまち一駒】 |
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イレブンの蹴児の声や春の風
★特選 (丑郎選) 高齢者が集まる公園のサッカー場元気な子供たちの声に。
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【祥雲】 |
24 | 春まけて野良の猫たち行きかいぬ | 【歌子】 |
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春めきて亡き家猫を懐かしむ
並選 (歌子選) ★当季雑詠でしたのに、偶然同じ季語、同じ猫ちゃんの句になりましたね。 そこかしこに、猫ちゃんのいた心豊かな生活が思い出され、猫ちゃんの愛らしいしぐさなどが思い出されるのです。
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【法被衣】 |