1 鳥騒ぎ雛の巣作り朝早く 【一駒】
祥
2 お返しのピアノ独奏雛祭 【歌子】
駒
3 疫病に入影寂し雛祭 【 法被衣】
4 母百三嫁道具なるお雛様 【牛郎】
◎牛
5 鳥雲に「イムジン河」を口づさむ 【祥雲】
牛 歌
6 雛の間は今年もやれず日記書く 【つゆき】
7 寄り添える父母のかたみの立雛 【祥雲】
8 鳥雲に4、3、2、1、0飛翔 【牛郎】
祥 歌
9 波のみぞ来る浜の朝鳥雲に 【 法被衣】
法
10 鳥雲に入る別れの日風強し 【一駒】
11 鳥雲にバック店には似た人が 【つゆき】
牛 ◎祥
12 あの峠越え名物の草餅屋 【歌子】
◎歌
13 粒餡の草餅わけて母と食ぶ 【祥雲】
祥
14 草餅や久しく会わぬ兄のこと 【牛郎】
駒
15 草餅を売る婆の手の年期かな 【法被衣】
16 手土産は祖母の作りし草餅や 【一駒】
法
17 草餅やシールを下手に剥がしたり 【つゆき】
◎駒
18 コロナ禍の長くなりけり春炬燵 【歌子】
歌 法
19 コロナ馬鹿叫んで進む新学期 【一駒】
20 待ちぼうけ食らふ踏切夏近し 【法被衣】
牛 駒
21 犬ふぐり瑠璃色の瞳に迎えられ 【祥雲】
歌 ◎法 駒
22 乳牛の声裏返る忘れ霜 【牛郎】
23 春寒し春暑しさてどっちなの 【つゆき】
牛 祥 法
24 児には児の言い分ありや鳥雲に 【歌子】
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☆ 選 句 ☆
☆牛郎選【◎5、6、12、21、24、】
☆祥雲選 【2、9、◎12、14、24】
2 お返しのピアノ独奏雛祭
和やかな光景が彷彿としてくる良句です。
9 波のみぞ来る浜の朝鳥雲に
鳥達が飛び去った後の浜の朝の寂寥感が漂う良句です。
◎12 あの峠越え名物の草餅屋
「草餅屋」が斬新で、句またがりながら現実感のある気持ちの良い良句です。
14 草餅や久しく会わぬ兄のこと
お兄様と草餅を食べた昔のことが思い出される良句です。
24 児には児の言い分ありや鳥雲に
お孫さんの言い分が自分とは違うなあという感情の表現が巧みだと
思います。
☆歌子選 【6,9、◎13、19,22】
6 雛の間は今年もやれず日記書く
ここ数年、雛飾りを出して飾ることができなかった、そんな事情をふくめて
日記を付けている、子への申し訳ない思いがにじむ。
9 波のみぞ来る浜の朝鳥雲に
鳥たちで賑わっていた浜が、今朝はすっかり静まりかえっている。
聞こえるのは波音だけ。別れも交わさぬまま遠くの空へ旅だってしまった
鳥たち、残された私・・・・何ともいえない寂しさである。
◎13 粒餡の草餅わけて母と食ぶ
草餅が一つしかなかったのか、それとも一個は食べきれないからか
母子が仲良く分け合って食べている様子や会話、特に美味そうな粒
あんが目の前にクローズアップしてきます。
19 コロナ馬鹿叫んで進む新学期
明日は久しぶりに登校して友達に会えると楽しみにして眠ったその晩遅く
学校からの緊急メールで、県内にコロナ感染者が出たため、登校は
4月まで延期となった。何も言わずじっと我慢の小学生の孫。ぽつんと
「友達と遊びたい」
わざわざコロナを浴びるために、スペインに出かけた大人の
馬鹿~~ってさけびたい。
22 乳牛の声裏返る忘れ霜
普段、牛を見ることも声を聴くことも全くないが、「乳牛の声裏返る」と
言うところに新鮮な驚きを覚え、確かにその裏返った鳴き声が聞こえ
たような気がした。忘れ霜の意味を考えると、決して呑気なことでは
ないのだと思うが何となくユーモラスな感じさえしてくる。
☆法衣選【10、17、19、◎22、24】
10 鳥雲に入る別れの日風強し
3月は別れと風がつきもの。破調が吹きすさぶ風の様子を伝えます。
17 草餅やシールを下手に剥がしたり
あー、これあります。
19 コロナ馬鹿叫んで進む新学期
子供たちの心境をうまく捉えてます。
◎22 乳牛の声裏返る忘れ霜
牛の鳴き声が聞こえてきます。裏返るがよいです。
24 児には児の言い分ありや鳥雲に
自己主張、自我の覚醒、単なるわがまま?
☆あらまち一駒選 【3,15,18,21,22】
3 疫病に入影寂し雛祭