顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

第146回8月句会 投稿作品・選句・選評(感想)・作者 

第146回8月句会 投稿作品・選句・選評(感想)・作者

 

  

1 今生の記念写真や生身魂    【祥雲】

 

2 天の川探しに宿の下駄借りて  【牛郎】

 

 ◎歌

3 全天の畏怖信州に天の川    【法被衣】

 

  祥 駒

4 天の川しずくこぼるる露天風呂  【歌子】

 

5 迎え火に迷う事なく先祖来る   【一駒】

 

  

6 鵲(かささぎ)の繋ぐ出逢いや天の川  【祥雲】

 

  

7 生身魂芋焼酎をぐびりぐびり   【牛郎】

 

  

8 ひ孫にも笑み交わしおり生身魂  【法被衣】

 

  法 駒

9 跡継ぎの絶えし門火やちろちろと 【歌子】

 

  歌

10初ものを祖父に知らせて生身魂 【一駒】

 

  歌

11妹とままごと遊びの赤のまま    【祥雲】

 

  法

12影有れば凌ぎ易き日赤まんま    【牛郎】

 

 ◎祥 歌 駒

13赤まんまゴザの前には下駄三つ  【法被衣】

 

  祥 牛                                

14ガラス越しに又ねと手振る生身魂  【歌子】

 

  ◎法

15いち早く草刈り後に赤のまま    【一駒】

 

16迎え火を焚くや家郷の夕の庭    【祥雲】

 

17迎え火を蠟燭に採り急ぎ足    【牛郎】

 

18迎え火やゆらゆらゆらりのLED  【法被衣】

 

19飯支度老いのままごと赤まんま  【歌子】

 

20打ち寄せる海の波動に秋めく日  【一駒】

 

   法 ◎駒 ◎牛

21秋めくや赤垂れ褪せる野の仏   【祥雲】

 

22秋めくや橋に人ひと梓川     【牛郎】

 

23肌を刺す太陽の居所秋めきて   【法被衣】

 

24秋めくや食すものみな美味しくて 【歌子】

 

25命日や置いてきぼりの天の川   【一駒】          

 

 

 

♬ ♩  選句・選評・感想♩ ♫ ♬ ♬ ♩ ♫ ♬

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★ 祥雲選 (4,8、◎13,14)

 

4 天の川しずくこぼるる露天風呂

鬱を祓うには最高の景の句ですね。極楽極楽!。

 

8 ひ孫にも笑みかわしおり生身魂

 画面越しでしょうか、コロナ禍ならではの哀愁的な景の句です。

 

◎13 赤まんまゴザの前には下駄三つ

 女の子の可愛らしい下駄三つと想像します。赤まんまでのままごと

遊びでしょうか。

 

14 ガラス越しに又ねと手振る生身魂

 コロナ禍の哀愁的で、愛情深い良句です。

 

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★ 歌子選 (◎3,7,10,11,13)

 

◎3 全天の畏怖信州に天の川    

天を仰ぎながら、畏怖の思いに圧倒された様子がわかるようで、

鳥肌立ちました。   

 

7  生身魂芋焼酎をぐびりぐびり  

父方の漁師だった祖父はお酒が大好きで、いつも徳利を腰からぶら

下げて家に遊びに来ては、「さげ(酒) かってこい」と、私にその

徳利を持たせるのです。姉たちは酒飲みの祖父を嫌って、どこかへ

いなくなってしまうので、末っ子の私が、近所の酒やさんにはしっ

たものでした。ぐびりぐびり、に酒のみの祖父を思い出しました。

 

10初ものを祖父に知らせて生身魂  

生身魂 ナマミコンと読むのか、イキミタマとよむのか、俳句をやって

いなかったら出会うこともない言葉で、核家族のうえ、宗教がキリスト

教とくれば、全く何のことか想像の追いつかない季語。多分ネット句会

では二回目に出てきた季語だろうと記憶しています。ネットであれこれ

調べて臨みましたが、お恥ずかしいながら、あまりピンと来なくて、

高齢の親、祖父母くらいの認識しかできません。

 

 11妹とままごと遊びの赤のまま   

ままごと遊びでも、実生活でもつねに姉たちに支配されていた末っ子の私。

一度もお母さん役をやったことがなく、パシリ役だった幼き日のことを

思い出します。

 

13赤まんまゴザの前には下駄三つ  

なんともかわいらしくほほえましい景ですね。下駄三つがいいですね。

11とも重なりますが、愛らしさ、懐かしさに胸きゅんとなりました。

 

 

 

 

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★3 法被衣選(9,12,◎15,21)

 

9 跡継ぎの絶えし門火やちろちろと

過疎化の中、伝統を守るのは残った高齢者ばかり。

それでも祖先を敬う気持ちに変わりはない光景を切り

取っています。

 

12影有れば凌ぎ易き日赤まんま

空気が変わった事を感じます。

昔の夏は日影があれば何とか過ごせましたが暑さの質が

変わったように思います。

 

◎15いち早く草刈り後に赤のまま

草を刈った後の清々した風景に芽生える生命力。

草刈りの草いきれも感じられる作者の観察眼に一票。

 

21秋めくや赤垂れ褪せる野の仏

お地蔵さんの赤垂れは日差しに白っぽく褪せ、対比する鮮やかな

青空が見えて来るような気がします。 

 

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★あらまち一駒選(4、9、13、◎21) 

 

4 天の川しずくこぼるる露天風呂

満天の星迄が一緒に露天風呂に浸かって良い気分が伝わる

 

9 跡継ぎの絶えし門火やちろちろと

少子高齢化を象徴してる句

 

13赤まんまゴザの前には下駄三つ

おママごとの光景が浮かぶ

 

◎21秋めくや赤垂れ褪せる野の仏

ベロ掛けも日焼けし色褪せ秋の風情に地蔵の存在感が際立って物語を語ってる

 

 

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★ 牛郎選(1、6、14、◎21)

 

1、今生の記念写真や生身魂      

高齢者の友達の日頃の笑顔を写真に撮る依頼が増えました。

 

6、鵲の繋ぐ出逢いや天の川      

佐賀県の友達を訪ねた時を思い出しました。

「鵲」県鳥と聞きました。

 

14、ガラス越しに又ねと手振る生身魂   

コロナ禍面会禁止の施設に母親が入っています。

 

◎21、秋めくや赤垂れ褪せる野の仏   

信州開田高原の友達の山小屋を訪ねた風景が浮かびます。