顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

第16回 選句選評

大変お待たせしました。第16回目の作品の選句、選評をお届けします





★★ 島ちゃん選 【4,9,12,19,23】


4赤ちゃんの 祝い着買って ゴム風船

誕生という高揚した気分と風船がマッチした句ですね



9川中のしぶきに光る柳の芽

 銀色の柳の芽のふくらみがきらきら光って春の輝き、

  なんだ かうきうきします。



12風船や消え行く天空小さき吾

空に吸い込まれていく風船、自分がだんだんなくなって、
無の境地でしょうか。


19芽のふいて一夜に山は膨らみぬ
 
 雪がとけて木々が芽吹いて、急に山が大きく見えること
     がありますよね。


23花冷えに身の上話湧く足湯

ぐるりと足が並んで羞恥心が消えたころ、身の上話など
出て、にぎやかな様子が伝わってきます








 ★★歌子選  【7、19、22、28、39】


 7 花冷えやさがす上着に名刺あり

      すでに退職した職場の名刺がでてきて、は~^こんな肩書きで
      張りきってたこともあったな~と、感慨にふけることも・・
      
    


19芽のふいて一夜に山は膨らみぬ  

     芽が吹いて一夜にして山が膨らむ、春の芽吹きの勢いと明るさが
     目に見えるようです。景の大きな素晴らしい句だと思いました。
     文語体と口語体が混じっているので、できたら文語体で。



22陽炎や亡き姉に逢う墓参り 

     陽炎のたつ日に墓参りに行ったという句ですが
     陽炎が亡き姉にもみえて、この取り合わせぞくっ
     ときました。
     文語体で。。。とわたしは言われているのですが
     そうなればこれは『陽炎や亡き姉に逢ふ墓参り』
     となりますね。

 

28手のひらに残りし香り山椒の芽 

     お料理に添えるためにほんの一枚か二枚摘んだだけなのに、
     手のひらに残った山椒の香。
     手のひらを顔に持ってきて、かいでいる様子や、
     その香りまで想像できる句、体験した人にこそ
     詠める句ですね。自分にでないと詠めない句
     そんな句を目指したいものです。



39ゴム風船ゆらりゆらりと肩車

     お花見の帰りお父さんの肩車にのって
     風船が揺らめいている景ですね。
     子どもが、お父さんがといわず
     ゴム風船が肩車・・・って言う表現が
     いいですね。







★★ J次郎2選【1 7 15 28 39】


選評

今回はよく似た印象の句が多く選句にまよいました。


1案ずればたらの芽つんで帰り来し

  「とんぼとり きょうはどこまで いったやら」を思わせる
   暖かいイメージですね。
   もっとも、とんぼなら子供ですが、たらの芽はおじいさん?



7花冷えやさがす上着に名刺あり

   これも、どこか笑えるところが
   角の丸い名刺が出てきて・・・



15五重塔かげろう越しに揺らめきぬ

   ビルよりも五重塔が風情に優るでしょう



28手のひらに 残りし香り 山椒の芽

   台所の雰囲気ですね。写生。



39ゴム風船ゆらりゆらりと肩車

   同じようなイメージの句が多い中で

   暖かい父子の後姿が目に見えるようで






★★ 法被衣選 【4,28、7,24、41】

陽炎がはかないもの、人生に重ねて詠んでいる句が多かったように思います。

陽炎は揺れているものなので、ゆれるという表現はいい過ぎのようにも感じました。

今までの傾向で、どうも自分は聴覚や嗅覚的な句が多いような気がします。

ことばから匂いを連想するのもまた愉しいもんですね。

それでは選句・選評です。



4赤ちゃんの 祝い着買って ゴム風船

    風船の軽い感じが気持ちにも反映してくるような、
    うきうき感のある句ですね。


28手のひらに 残りし香り 山椒の芽

    山椒の芽は香りがきついですね。
    食卓用の山椒の芽を摘んでいたのでしょうか。
    食事時、その香りがまだ手に残ってたとか。


7花冷えやさがす上着に名刺あり

    あー、こんな所に入れていたんだ、と冬にもらった名刺が。
    まさか、ちいママの名刺では^0^)



24たらの芽を貰いてひとり悦に入る

    ひとり悦に入るところがほほえましいです。
    天ぷらか、和え物か、さて。



41しかられた夕日にふわり紙風船

   しかられて一人遊び、風船の浮遊感が少し気を紛らわせてくれそう。
   子供時代ならではの懐かしい一シーンです。




その他気になった句

19芽のふいて一夜に山は膨らみぬ

     春の訪れ、一気に芽吹く姿は圧巻ですね。



9川中のしぶきに光る柳の芽

     春の心地よさが伝わってきます。
     私は柳と言うとどちらかというとのんびりしちゃいます。
     しぶきというよりはたゆとう流れかな。



12風船や帰依行く天空小さき吾

     消え行く?風船が大空に吸い込まれていく、自分も小さくなって
     しまう感覚、おもしろいです。



21芽吹く頃南に出向く漁船団

     まぐろ漁でしょうか。
     芽と海の結びつきは新鮮。
     出漁の勢いが表わされるともっとよいと思います。



3不景気や売り出し風船青い空

     青空だけが元気で、それに映える色とりどりの風船。
     でも世の中不景気。
     対比がわかるような気がします。



27紙風船利口者にと薬売り

     越中富山の薬売り、懐かしいです。
     携帯にも優れた紙風船のおまけ、定番でしたね。



22陽炎や亡き姉に逢う墓参り

    陽炎がうらうらと立ち昇る日は墓参り日和。
    ゆらめく陽炎はなくなったお姉さんと話をしているかのような感じ・・・。



29花冷えが白髪の元となってきた

    白髪の元という感性がおもしろいと思いました。








★★ 木庭ちゃん選 【1,2,16,19,40】


1 案ずればたらの芽つんで帰り来し

    先日 金浦温泉でのんびりしてきて
    こんな場面があったような・・・



2 花冷えや温泉通いの日暮るる

   なんと言っても冷える身体には温泉がいいね~



16 花冷えに戸惑いながら袖通す

   まだ冬ものでいいんだよな~・・



19 芽のふいて一夜に山は膨らみぬ

   スケールの大きい一句 春がいっぱいに・・



40 陽炎の向こうに響く槌の音

   建設現場がゆらゆら ゆらいで・・・







★★ しらべる選 【18,19、23、26,36】

下記5つ選びました。


18花冷えも出番待ってるランドセル

19芽のふいて一夜に山は膨らみぬ

23花冷えに身の上話湧く足湯

26ゆらゆらと陽炎たちぬローカル線

36花冷えの朝の食卓手に寒し





★真珠牛朗選【16、40、6、21、23】


16 花冷えに 戸惑いながら 袖通す

40 ゴム風船 ゆらりゆらりと 肩車

 6 狂いたる 陽気にかげろう ビル揺らす

21 芽吹く頃 南に出向く 漁船団

23 花冷えに 身の上話 湧く足湯





★風智選

14、陽炎や追いかけ恋の迷い道 

    振り返ってみると、いつまでも迷っていたいような


16、花冷えに戸惑いながら袖通す
 
    仕舞いかけた服を、今の季節を言い表してます。
    男でも戸惑う

23、花冷えに身の上話湧く足湯 
  
    これは、歌子ちゃんだ!おそらく話も湧く
    様にはずんだことでしょう


37、風船を放して泣く子も新園児 
  
    昔よくみかけたような、なだめるのに大変だった
    両親や爺婆ちゃん


41、しかられた夕日にふわり紙風船
 
   こういった事に慰められた事を思い出させてくれた句で、   字余りでも頂きました








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