1 雲晴れて夜半の月食星冴ゆる
牛
2 この宙の真ん中はどこ星冴える
2 この宙の真ん中はどこ星冴える
蝸
3 風冴ゆる十九の我に悔いのあり
次 島 葉 つ
4 冴ゆる夜の赤き衛星欠け満ちて
葉
5 飲んだくれ夜明けに冴ゆる五体かな
法
6 風冴えて十万年の放射能
7 月食の天頂覆う星冴ゆる
8 山寺の願いを込めし鐘冴ゆる
9 欠番
10 冴へ冴へと最終電車の発車ベル
11 空仰ぐ冴ゆる星空父の面
し
12 冴ゆる夜の手洗い水に薄氷
12 冴ゆる夜の手洗い水に薄氷
13 メール来る賀状も喪中も同期生
島 牛
14 そこかしこメール飛び交う忘年会
14 そこかしこメール飛び交う忘年会
祥 し 羽
15 時雨るるやメール五文字の別れ文
16 手袋のままで打ってるメールかな
17 少しだけ雪混じる雨メール消す
次 羽
18 メールにも行間の欲し寒さかな
19 メール打つ指かじかみつクリスマス
20 寒暁や危篤のメール受け取りぬ
祥 葉 歌 つ
21 雪催頬杖で待つメールかな
22 過ぎ去りし紅葉添付メールかな
23 メールにてまたご無沙汰の年の暮
島 蝸 羽
24 年の暮メールの向こふ慌ただし
24 年の暮メールの向こふ慌ただし
25 気にすれば重低音の冬の夜
26 これ以上悲劇はいらぬ冬の夜
法 し
27 寝ない子とあっち向けホイや冬の夜
27 寝ない子とあっち向けホイや冬の夜
法
28 我ら皆生存者なり冬の夜
28 我ら皆生存者なり冬の夜
羽
29 ひと部屋に集まってくる冬の夜
30 冬の夜や啓示の如き少女の絵
31 冬の夜膝上の猫温かし
葉 歌 蝸
32 冬の夜や榾火の爆ぜる音静か
32 冬の夜や榾火の爆ぜる音静か
つ
33 一言で泣き虫になる冬の夜
牛
34 久々の夫婦の会話冬の夜
35 ぐい飲みを両手で包み冬の夜
36 冬の夜白湯がぶがぶと暖炉前
法 歌
37 幸せを少しでよいと初日の出
次
38 初詣家族と行けるなにげなさ
39 失せしもの残されしもの去年今年
祥 し つ
40 今日ひと日咲ききる幸や福寿草
40 今日ひと日咲ききる幸や福寿草
祥
41 寄せ鍋や家族の笑顔いれて炊く
42 初詣数多の祈り捨ててより
島 歌
43 数の子や音で語らう老夫婦
43 数の子や音で語らう老夫婦
蝸 牛
44 山神に深く一礼松飾
45 新年や身内に疲れ他人恋ふ
46 新年の誓いは泡と成りにけり
47 幸せを一足先に福寿草
次
48 雪垂れて軒下走る童かな