⑤ 歌子選 1,3,6,14,19,22
1 春星や賢治を乗せて夜汽車行く
まるで銀河鉄道が春の星空をめがけて走り去っていく
絵が見えるよう。「賢治と一緒に夜汽車行く」 に惹かれました。
ロマンチックでありつつ冷静かつ理知的な作者がかいま見えるよう。
3 川底の魚影さがして夏近し
魚影を探す所作に夏近しをもって来られたところに、新鮮な思いが
しました。
6 目をこらし三つ四つ五つ春の星
春の夜空は、意外に細々した星よりも、大きな星座が目につくので、
意外な気がしましたが、4月は青森の方はまだ冬を引きずっているせいかもしれません。
目をこらして星を眺めている作者が目に浮かびます。
14 川沿いにおとり鮎の字夏近し
なるほどねえ、って思いました。おとり鮎の看板に夏が近いことを感じる。。。という季語
との結びつけ方も、無駄のない作り方にも驚きました。
19 のどけしや胸にくぐもる鳩の声
一羽だけの声なのに、町一つを長閑で平和な空気に包み込んでくれます。
胸にくぐもる鳩の声・・鳩のあの声が、この作品の中から飛び出してきました。
22 水面にもこぼれ落ちたる春の星
何とも美しい絵が浮かんできます。
絵やピアノを趣味としている作者の 美意識が言葉選びになっている
と思いました。