つゆきさん選(5.10.14.19.21.26)
5 高原の宿の湯船や流れ星
季語は「流れ星」。宿の湯船に浸かって、
一杯でもやれば最高の気分、季語の「流れ星」
が活きて居る。
10 振り向きもせず去る人や秋海棠
季語は「秋海棠」。去る人に句味を感じた。
秋海棠が咲いて居た。
14 山裾に鎮魂と咲く断腸花
季語は「 断腸花」。秋海棠の別名である断腸花。
鎮魂の意が感じられた作者の確信は揺らがない。
19 熊の子の飛び跳ねていく秋の森
季語は「秋の森」。小動物に感応する。自然は
そのとき言うだろう「森は生きて居る」と。
21 迎え火や姉は十二のまま来る
季語は「迎え火」。姉に対する鎮魂の心。死者
は年をとらないが生者は年を取る。この宿命に
抗う術は無いのか、その答えは俳句にあると思
います。句を詠めば見えて来る生の実相、そこ
にある生命の真実。
26 秋茄子をもひで家内は口ずさむ
季語は「秋茄子」。妻の歌。そこには生の真実
が含まれて居る。季語の「秋茄子」が良き伴走者。