顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

第152回 8月句会 作品、互選、感想、作者

   

1 清流に青肌蜻蛉ゆらぎおり          【祥雲】 

2 流れ星流れ流れて夏の果      【あらまち一駒】

   

3 夏の果て洒落たマスクの逢瀬かな  【法被衣】 

   祥 法

4 船旅の飛沫見入るや夏の果     【歌子】   

   駒

5 みずうみの波音溶けて夏の果て   【牛郎】

   

6 白雲に届くやみんみん蝉時雨    【祥雲】 

   

7 ホバリングの蜻蛉並べり車椅子   【牛郎】 

8 ため息も砂地も平す土用波     【あらまち一駒】 

  ◎牛

9 湿原のティンカーベルや糸蜻蛉   【歌子】  

   駒 歌

10 水溜まりにトンボは産卵急ぎたり 【法被衣】 

   ◎駒  ◎歌

11 夏ばてを知らぬ老婆のふくらはぎ 【牛郎】     

12 庭の紫蘇朝な夕なの総菜に    【歌子】     

13 白南風や駱駝の背にて日本海   【祥雲】  

    祥

14 空中でチークダンスの蜻蛉かな  【あらまち一駒】  

    

15 夕立や湯屋軒下に立つ乙女    【法被衣】  

    ◎祥 ◎法 駒

16 迎え火や遺影の姉は十二歳    【牛郎】

    

17 人待ちの紅塗りなおす木下闇   【歌子】 

18 淹れたてのアイスコーヒー氷(ひ)の悲鳴

                   【法被衣】

    法 歌

19 手のひらに空を受け取る蓮の花  【あらまち一駒】   

    牛

20 里山に遊びし昭和や夏の果    【祥雲】  

 

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選句

祥雲選 【4、14、15、◎16】

4 船旅の飛沫見入るや夏惜しむ

学生時代に36日間の太平洋往復の船旅をしたことがありました。

丁度夏惜しむ感じで、横浜港に帰って来ましたが、それを想い出させるような良句です。

 

14 空中でチークダンスの蜻蛉かな

「チークダンス」とは誠に斬新な表現ですが、蜻蛉は交尾をしたまま空中を飛びますので、納得感のある良句です

 

15 夕立や湯屋軒下に立つ乙女

まるで映画のシーンを見るような景で、物語性のある良句です。

 

◎16 迎え火や遺影の姉は十二歳

お姉さんと一緒に楽しく遊んだ日々のことなどがしみじみと想い出されるような鎮魂の良句です。

 

法被衣選【4,7,◎16,19】

4 船旅の飛沫見入るや夏惜しむ

八丈島佐渡に行った時の舳先で波を切って進む船の光景が彷彿と甦りました。

白浪に見入っていると吸い込まれる感覚に陥ります。    

 

7 ホバリングの蜻蛉並べり車椅子

上句の字余りが蜻蛉の気ままな動きの効果の味を出しているのかと。

介護施設でしょうか、車椅子に人影はない光景を思い浮かべました。 

◎16 迎え火や遺影の姉は十二歳

十二で亡くなったというショッキングな出来事、

「あの日」から何回お盆を迎えた事でしょう。懐かしさ、いとおしさ、哀しみがないまぜとなって胸にせまります。   

 

19 手のひらに空を受け取る蓮の花 

下句で登場する蓮の花で句の全容がイメージ化する構成、お見事です。

空の一言で夏の大空、照り付ける太陽が表わされています。

 

今回はイメージが伝わってくる句を選びました。 

 

牛郎選【3、9、17、20、】

3、夏の果て洒落たマスクの逢瀬かな     

コロナ禍マスク騒動大変でした、洒落たマスク目につきますね。

 

◎9、湿原のティンカーベルや糸蜻蛉     

糸蜻蛉を妖精に表現されたのに感服しました。

 

17、人待ちの紅塗りなおす木下闇       

女心がよく表れている好きな句です。

20、里山に遊びし昭和や夏の果て       

昭和世代が高齢化している寂しい思い伝わります。

 

 

あらまち一駒選【5,10、◎11、16】

5 みずうみの波音溶けて夏の果て

人っけなくなり寂しい水辺に風景が浮かびます。

 

10 水溜まりにトンボは産卵急ぎたり

どこでもイイから産んじゃおうって慌てん坊の蜻蛉達、儚くって勢いがあってイイです。

 

11 夏ばてを知らぬ老婆のふくらはぎ◉

こんな婆さん達が日本を繁栄させたんだ、私もそうなるぞって勇気をもらう句です。

 

16 迎え火や遺影の姉は十二歳 

可愛い盛り美人になる予兆を秘めて時間が止まった感あり。

毎年毎年迎え火で忍んでる愛情込めてしっくりくる句です。

 

歌子選【6,10、◎11、19】

6 白雲に届くやみんみん蝉時雨 

映画のワンシーンのような夏の映像と音が目の前に広がります。

 

10 水溜まりにトンボは産卵急ぎたり

蜻蛉のことをあまり知らないので、検索してみました。種類によって産卵の仕方がずいぶん違うということを初めてしりました。この句の蜻蛉はどうして産卵を急ぐことになったのだろうって、蜻蛉に聞いてみたくなりました。

 

◎11 夏ばてを知らぬ老婆のふくらはぎ

毎日膝が痛い、腰が痛いと常に足を気遣って過ごしている私には、飛び切りあこがれた元気のいい「老婆」の句。

夏バテを知らない元気さを「ふくらはぎ」で表現されるとは、着目、発想が素晴らしいとおもいました。

 

19 手のひらに空を受け取る蓮の花

何千本という紅蓮を咲かせる猿賀神社の蓮沼を思い浮かべました。「手のひらに空を受け取る」という表現に何か深淵なる思いが込められているようで惹かれました。