牛
1 何となく心せわしき十二月 【祥雲】
2 枯葉にもしがみつきたき強き風 【牛郎】
祥 ◎駒
3 静けさや落ち葉の染めし街の朝 【法被衣】
歌
4 冬麗誰もがマスク美男美女 【一駒】
5 十二月今年最後の受診終える 【歌子】
◎祥 法
6 冬麗やろくろ鉋の挽く香り 【牛郎】
牛
7 水鳥やオブジェのごとく身じろがず 【歌子】
8 ゆっくりと螺旋の夢を浮寝鳥 【祥雲】
9 冬うらら広場の子らの声遠し 【法被衣】
◎法
10 風ふわり髪にかんざし落葉かな【一駒】
祥
11 スタートは今七十三冬うらら 【歌子】
駒
12 水鳥やえさ場に群れる命かな 【法被衣】
歌 法
13 踏みしめる銀杏落葉や共白髪 【祥雲】
14 本日の群れし水鳥十三種 【牛郎】
15 息切らし雨の12月バスに乗る 【一駒】
16 冬麗やトランペットを吹く男【祥雲】
祥 歌 法
17 鈴磨くおしゃべり媼十二月 【牛郎】
◎歌 駒 牛
18 疫病に静まり返る十二月 【法被衣】
19 水鳥も澄まして泳ぎ泳跡波 【一駒】
駒 牛
20 枯葉舞うイブモンタンの歌聴こゆ【歌子】
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♬ ♬ ♬ 選句 鑑賞 感想 ♬ ♬ ♬
祥雲選 【◎6、3、11、17】
◎6 冬麗やろくろ鉋の挽く香り
電動の轆轤鉋でしょうか。刃と木地が擦れた時に立ち昇る香りを感じさせる良句です。檜などの香りのよい木地を挽いている景を感じます。「冬麗」に合っていて良いと思います。
3 静けさや落ち葉の染めし街の朝
落ち葉が散り敷いた街の朝の景が見事に表現された良句です。
11 スタートは今七十三冬うらら
私より一つ年上の方の詠。その気迫に感動しました。
17 鈴磨くおしゃべり媼十二月
神社の鈴を磨いているのでしょうか。初詣用に鈴を奇麗に磨いている姿が目に浮かびます。「おしゃべり媼」が微笑ましい。
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歌子選 (4.13.17.◎18)
4 冬麗誰もがマスク美男美女
気が滅入りがちなマスク事情を「誰もが美男美女」と軽やかに言い切り、思わずくすっとなりました。
13 踏みしめる銀杏落葉や共白髪
この年になるまで よく一緒に歩んでこれたものだね、という深々とした感慨が伝わってきます。
17 鈴磨くおしゃべり媼十二月
神社参拝の鈴磨きのご奉仕をしているのでしょう。鈴音と女性の尽きぬおしゃべりとが響きあっています。何につけてもおしゃべりがいのちの女性たち。たくさんの経験を積んだ分、女のおしゃべりは、尽きることがありません。
◎18 疫病に静まり返る十二月
今現在の不安な世の中を切り取った一句。私の住んでいる青森ではこのコロナ禍で失職した人が1800人もいるそうです。クリスマスも正月も何もあったものではありません。一年で一番賑やかで忙しく活気あるはずの12月が、買い物客もまばらで、静まり返っている・・今まで見たこともない光景です。「静まり返る」というのが不気味です。
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法被衣選【6,◎10,13,17】
6冬麗やろくろ鉋の挽く香り
匂いの記憶を呼び覚まされました。
香を木の香としてもよいのかなと。
◎10風ふわり髪にかんざし落葉かな
落ち葉のかんざし、素敵な感性を感じます。
落ち葉のかんざしとすれば髪を省略できるのかも。
13踏みしめる銀杏落葉や共白髪
落ち葉の乾いた音が聞こえて来ます。
銀杏の銀と白髪が呼応しているように思います。
17鈴磨くおしゃべり媼十二月
手と口をせわしなく動かす姿から元気をもらえそうです。
鈴を磨く行為が何を指すのかが少々伝わりにくいかも。
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あらまち一駒選(◎3,12、18,20)
3静けさや落ち葉の染めし街の朝(◎)
映画のワンシーンのように情景が浮かびます。
12水鳥やえさ場に群れる命かな
餌があるから集まるんです、すなわち命ですよね。
18疫病に静まり返る十二月
コロナがここ迄猛威を振るうとは想像つきませんでした。
疲れはて年の瀬も静かにしていたい、共感させられますよね。
20枯葉舞うイブモンタンの歌聴こゆ
イブモンタンと言えば枯葉、歌が聞こえてます。
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牛郎選【1、7、18, ◎20、】
何となく心せわしき十二月
確かに十二月、高齢になり動きが悪いのですが気持ちだけせわしなく
感じます。
7水鳥やオブジェのごとく身じろがず
真鴨の木の置物が部屋に有ります、近くに有る沼に数百羽越冬して
います。
18疫病に静まり返る十二月
コロナ禍拡大が各地に及び不安な世の中に成りました。
◎20枯葉舞うイブモンタンの歌聴こゆ
私たちの歳の方なら、シャンソン枯葉あまりにも有名です。