顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

第48回 つだみつぐさん選

●つだみつぐさん選  【8,9,17,32】
 
8 絡ませた指が語らふコートかな
 
男性が着るコートのポケットに、女性がかじかむ手を入れる。
 
ポケットの中で二人の指が絡む。
 
いいなあ。
 
 
17 何時かまたコートに包む想いかな
 
レストランを出るとき、コートを受け取る。
 
「いつかまた会えますよね?」と言おうとして、言えない。
 
ほんとうはこのまま一緒にいたいことを知られてしまいそう
 
だから。
 
そして黙ってコートを着る。
 
もう、会えないのかしら。
 
コートの襟を立てて一人で歩いて行くのかしら。
 
 
 
32 子や孫に残す原発もがり笛
 
「もがり笛」という季語をごく最近知りました。歳時記で。
 
(師匠である母から、「まず歳時記を全部読むこと」と
 
うるさく言われています。)
 
その時わたしはこう思いました。
 
この季語をわたしが使うことはないだろう。また、この季語を使った句に
 
共感することもないだろう。竹で編んだ囲いを風が通る音なんて聞いた
 
こともないし。
 
でも、この句の場合はなんだかぴったりする気がします。
 
たぶん、「子や孫に残す」という時点で、写生でなく感慨を
 
詠んだ句になっているからじゃないでしょうか。
 
淋しく荒涼とした心象風景。
 
子供たちのしあわせをこれほど願ってきたのに、なぜわたし
 
たちは、処理する方法さえなく二万年以上管理し続ける危険
 
な物質を未来に残してしまうのだろうか。
 
 
 

9 行く先の見えぬ原発霧ぞ濃き
 
これもつらく淋しい句ですね。
 
「霧ぞ濃き」はちょっとはまりす
 
ぎの気がしますが。
 
「行く先が見えない」ことの説明になっちゃう。
 
 
 
 
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つだみつぐさんの作品
 
 
 7 息白く母たちの旗反原発 【つだみつぐ】
 
19 反省会遅刻しそうな落葉径 【つだみつぐ】
 
31  外套に孤独を包む家路かな 【つだみつぐ】