牛
1 銀輪や秋気の湖辺めぐりゆく 【祥雲】
駒
2 秋気めき闇にうごめく古代跡 【道草】
祥 歌 道
3金粉がほろり落ちそな十三夜 【一駒】
道
4万歩計も杖も紅いろ初紅葉 【歌子】
5原酒倉の眠る原酒に秋気満つ 【牛郎】
6秋気満つ田に煙立つ夕べかな 【法被衣】
7車窓よりインスタ映えの初紅葉 【道草】
8徘徊や何処にいるんだ秋時雨 【一駒】
9紅林檎凝視する眼の罪深き 【歌子】
祥 駒
10 富岡の煉瓦の壁に秋時雨 【牛郎】
牛
11 つぎはぎの稲田を濡らす秋時雨 【法被衣】
12 新宿裏の赤ちょうちんや秋時雨 【祥雲】
13 十月の別れのメール機械音 【道草】
14 公約や10月の嘘選挙かな 【一駒】
駒 道 牛
15 効くと聞き昨日も今日もキノコ汁 【歌子】
祥 ◎法
16 柚子の実や旧家並びて同じ姓 【牛郎】
17 10月や退院の報老兄弟 【法被衣】
法
18 秋晴や勇み太鼓の足袋きつし 【道草】
19 際立って茸カラフル見えぬ毒 【一駒】
祥 法
20 古宿に水琴窟の秋気かな 【歌子】
駒
21 十月やクロスの色を変へてみる 【牛郎】
22 スーパーに居並ぶ茸整いて 【法被衣】
◎道
23 紅色のこども心のたまご茸 【祥雲】
24 秋時雨植え替え株の艶めきて 【道草】
歌 ◎牛
25 病得て余命儚く初紅葉 【一駒】
◎駒 道
26 有難うはさよならの意味秋時雨 【歌子】
27 札入れは長老一人茸山 【牛郎】
28 曇天に肩身狭きか初紅葉 【法被衣】
29 富士五湖の湖面に映る初紅葉 【祥雲】
◎歌 法
30 わらわらと千の稲子の飛び立てり 【祥雲】
31 下山して開けてかけらの茸かな 【道草】
◎祥 歌 法
32 秋気満つ津軽大地は黄金色 【一駒】
33 10月や山に行かうか海にしよか 【歌子】
34山門のここにいつもの初紅葉 【牛郎】
35ひさびさに兄弟集い新酒空く 【法被衣】
歌 牛
36十月の漉き雲掃き雲ぼかし雲 【祥雲】
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選句・感想
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- 祥雲選 【3,10,16,20,◎32】
3 金粉がほろり落ちそな十三夜
面白い斬新な表現が十三夜に合っています。詩的な表現が好ましいと思います。
10 富岡の煉瓦の壁に秋時雨
官営富岡製糸場の赤煉瓦に秋時雨。往時を偲ばせる風情がいいと思います。
16 柚子の実や旧家並びて同じ性
同じ性の旧家。勢いのあった地域でしょうか。鮮やかな黄色の柚子の実が調和しています。
20 古宿に水琴窟の秋気かな
馬籠宿のような鄙びた所の宿を想像させる良句です。水琴窟が侘しさを際立てています。
◎32 秋気満つ津軽大地は黄金色
津軽平野に黄金色の稲穂が満ち満ちている景を想像します。幸せ感が溢れる良句です。
一駒選 【2,10,15,21,◎26】
2 秋気めき闇にうごめく古代跡
ジメジメし何か感じる霊気
10 富岡の煉瓦の壁に秋時雨
煉瓦に雨で濃い煉瓦色に向寒を忍ばせてる様子に好感
15 効くと聞き昨日も今日もキノコ汁
何にこのキノコは効くんでしょう好奇心が湧く
21 十月やクロスの色を変へてみる
クロスの衣替えかな
◎26 有難うはさよならの意味秋時雨
中島みゆきの歌の文句です。
歌子選【3,25,◎30,32,36】
3 金粉がほろり落ちそな十三夜
なんて美しい表現だ事
25 病得て余命儚く初紅葉
余命の儚さと初紅葉の美しさとはかなさの取り合わせが切ない
◎30 わらわらと千の稲子の飛び立てり
稲子が音を立てて飛び立つ驚きと凄さが伝わってきます。
32 秋気満つ津軽大地は黄金色
津軽に住む人の共感。形のない素晴らしい季語が、映像化されて感動的です。
36 十月の漉き雲掃き雲ぼかし雲
雲にこういう呼び名がある面白さにひかれます。
【4】道草選 【3,4,15,◎23,26】
3 金粉がほろり落ちそな十三夜
金粉がほろりとファンタスティックな世界に誘われます。
4 万歩計も杖も紅いろ初紅葉
健康な体を維持するための活力と前向きな明るさが感じられます。
15 効くと聞き昨日も今日もキノコ汁
キノコ汁にはまっている様子がうかがわれます。
◎23 紅色のこども心のたまご茸
こども心がフレッシュです。
26 有難うはさよならの意味秋時雨
別れの様子をさらりと詠んでいます
【5】法被衣選【◎16,18,20,30,32】
◎16 柚子の実や旧家並びて同じ姓
長野の岡谷市には小口姓がとても多かった事を思い出します。
風格のある街並みを彷彿とさせてくれる句です。
18 秋晴や勇み太鼓の足袋きつし
足袋きつしから、祭りに真新しい足袋をおろしたのかとの想像へ思いが飛びます。
20 古宿に水琴窟の秋気かな
水琴窟の金属的な音を聴くのには周囲の静けさもセットですね。
句から音の記憶が蘇ります。
30 わらわらと千の稲子の飛び立てり
歩く先にイナゴが跳び逃げる見事な写生句です。
32 秋気満つ津軽大地は黄金色
黄金色に実った稲穂の広い大地、大きな青空とセットですね。
【6】 牛朗選【1、11、15、◎25、36、】
- 銀輪や秋気の湖辺めぐりゆく
- 外出自粛が緩和になり念願の琵琶湖一周巡り参加します。
11、つぎはぎの稲田を濡らす秋時雨
米農家のとってこの時期恨みの雨です。
15、効くと聞き昨日も今日もキノコ汁
高齢者にとって一番の健康、覚えがあるだけに頂きました。
◎25、病得て余名儚く初紅葉
寿命は神のみぞ知ると聞きます、今生きる事に楽しみを見つけます。
36、十月の漉き雲掃き雲ぼかし雲
雲の種類勉強になりました。