2023年11月句会 作品、互選、選者感想、作者
1 |
木の実なき山ゆ里へと熊降り来 【祥雲】
◎特選 (選者 歌子) 人が襲われたり死んだりしている以上、山の動物が可哀そうだなんて言う気はありませんが、人間と動物が当たり前に距離を置いてすみ分けて生きてきた自然の営みが、いつからかその距離が縮み、狂ってしまった現実を淡々と読み上げており、胸に突き刺さります。 |
2 |
蕎麦刈りの次の工程軽トラで 【あらまち一駒】 |
3 |
主なき母屋にもう慣れ柿の家 【丑郎】 |
4 |
秋桜の宇宙見下ろす土手の上 【法被衣】 〇並選 (選者 祥雲) 宇宙の表現が良くて美しい大きな景を読み込んだところが良い。 〇並選 (選者 あらまち一駒) 秋桜が土手一面に咲いてる光景が浮かぶ |
5 |
お下がりのぽっけに木の実二つ三つ 【歌子】 ◎特選 (選者 祥雲) ぽっけと木の実の取り合わせが良くて、幼子の心情が巧く表現されている。
〇並選(選者 丑郎) お下がりの言葉に懐かしさ感じました。
|
6 |
もういいかコスモス畑のかくれんぼ 【祥雲】
〇 並選(選者 丑郎) 近頃、近くの道の駅側にコスモスの迷路見かけます。
|
7 |
蕎麦刈や子らの声するお昼どき 【丑郎】
〇 並選(選者 あらまち一駒) お昼だよー〜の声がする長閑な良い句
|
8 |
蕎麦を刈る人は青天担ぎおり【法被衣】
〇並選(選者 歌子) 畠から青空へと視線が移動し、大きな景が見え、天を担ぐというその表現に度肝を抜かれました。
|
9 |
草の丈ばかりのさばる蕎麦畠 【歌子】 〇 並選(選者 法被衣) 確かに雑草も元気です。納得の光景。
|
10 |
秋桜や高原に風うね捲る 【あらまち一駒】
〇 並選(選者 法被衣) 一面のコスモスが風に翻弄されている様子を見事に捉えています。
|
11 |
秋桜や子牛生まれし種畜場【丑郎】 |
12 |
大根擦る妻の手指のうつくしき【祥雲】 |
13 |
口紅を引いて誰まつ秋ざくら【歌子】 |
14 |
衝立の隙間を抜ける冬将軍 【あらまち一駒】 |
15 |
山裾の豊穣色の蕎麦を刈る 【祥雲】 |
16 |
塀越しの行楽気分紅葉狩り 【法被衣】
|
17 |
老い切らぬうちに断捨離秋深む【歌子】
◎ 特選(選者 あらまち一駒) 人生を四季に例えれば秋の終わりまあまだ元気
|
18 |
氷雨降る故郷来れば友の声 【あらまち一駒】 |
19 |
|
20 |
田園の一点透視に氷雨かな【法被衣】 |
21 |
初乗りの新車めがけて初氷雨【歌子】
〇 並選(選者 祥雲) 作者の悔しい心情が巧く伝わってきます。
|
22 |
大暴れ木の実不足で野生熊 【あらまち一駒】
〇 並選 (選者 丑郎) 今年ほど全国で熊の被害ニュースよく聞きます。
|
23 |
小児科の椅子に木の実の忘れもの 【丑郎】
◎ 特選(選者 法被衣) まるでおとぎ話のような世界。 小児科で忘れ物の主は子どもと明白にわかります。どんぐりで遊んでいたところ名前を呼ばれて親御さんにせかされて診察室に入っていったのでしょうか。
〇 並選 (選者 歌子) 童話の一場面をみているようです。自分にもそんなことがあったような気がして懐かしい思いにさせられました。素敵な句です。
〇 並選 (選者 祥雲) 類句がありそうだが、現実感のある良句。
|
24 |
山道に木の実踏む音響きたり【法被衣】
|
25 |
温泉に浸かる猿らに氷雨かな 【祥雲】
◎ 特選(選者 丑郎) 長野地獄谷野猿公園写真撮りに行きました。
〇 並選(選者 歌子) 氷雨降る中、真っ赤な顔をしたお猿さんたちが、めをつむって気持ちよさそうにしているのが、ほほえましくていいですね。
〇 並選(選者 あらまち一駒) 冷たい雨あびてあったかそうな光景に
〇 並選 (選者 法被衣) 温泉に浸かる、までは平常ですが、いきなり猿の場面に転換。濡れた毛並みに氷雨が降るも赤い顔の猿たちは極楽気分でのんびり。 |