顧問のいないネット俳句

句会の流れ①その月の兼題を使った俳句を25日必着で投稿します。                     ②ブログに全作品が公開されます。                          ③投稿した人は自分以外の作品番号を選句し3日以内に編集者へ送ります。        ④このあとのことはその後のブログに必要事項を載せます。

俳句講座

先日、柏原民雨先生という方から、「発句と俳句」という講演を伺う機会がありました。
最初からすべて書くことができればいいのですが、長くなりますので、その中で、特に知っておかなくてはいけない基本的なことについて、メモしてきたことを、記したいと思います。
(今更・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、前半の発句の歴史などを省いて、メモ書きの清書。誤字や転記間違いなどあるかもしれません。へんな所はぜひご指摘ください)
 
発句(ほっく)と俳句
 
発句とは、俳諧連歌の発句、俳諧の発句、そして発句と呼ばれる。俳句という呼び方は、
正岡子規による命名
 
俳句の構造は、有季 定型、切れ この三つから成り立つ。
 
有季とは、季語を1つ入れる、季重なりは極力さける。
定型とは五七五の音律である、字余り字足らずは極力さける。
切れ  連歌の発句は独立鑑賞にたえること)
     発句は必ず言い切るべし順徳院の「八雲御抄」の連歌
              の項)
     
     「や、かな、し、もがな、ぞ、か、
      よ、けり、らん、つ、ぬ、ず、じ、
      せ、れ、へ、け、いかに」
 
     切れ字に用ふる時は四十八皆切字なり。 
             (去来の 「去来抄」)
 
 
俳句の二つの基本形  
 
一物仕立 (直叙) 
 ○○○○○ ○○○○○○○ ○○○○○(切れ一つ)
 
二物衝撃 (取合わせ) 
 ○○○○○ ○○○○○○○○○○○○  
 
                     (切れ二つ)
 
 
切れの二つの意味
 
一句の独立性=両者の型に共通
▲俳句固有の切れ=取合わせによる詩情
 
 
俳句の技法
 写生(子規による俳句確信のための手法)
    寄物陳思、即物具象、モノ俳句(事はよまずモノを       詠め) 瞬間切断、
    叙述の文芸ではなく提示の文芸、感興を物に託して間接    化すること
 
 
 
 
 
切れの問題
 
《きれる》 
 
体言留   (名詞留、名詞で言い切る)
       苛立つる雄松の幹弓の的■     
       ▲と■は切れ
       尻に差す競馬新聞▲雪催■
  
終止留   (動詞、助動詞、形容詞、形容動詞の終止形で
       言い切る)
 
       観音の体内にゐて初音聞く■
                   蛇消えしあと草むらに風立ちぬ■ 
      (助動詞の終止留め)
       覗く顔映して城の井の涼し■   
 
連体留   (用言の連体形で切る)(コトヨの省略)
       大道芸薔薇差す帽に銭受くる■ (銭を受く
       でもよい)
 
助動詞留  (終助詞、間投助詞、係助詞の文末用法、その他)
       方丈の大屋根沈む花野かな■ (助動詞)
       鉄線の咲きて夕風足もとに■ (省略語のわかる格助詞)
 
 
 《切れない》
 
連用留    (て留めと同じくつぎの用言が不明)
       (前句付に由来する川柳の形で、発句ではない)
       ①叱られてゐて枇杷の種ぼそと吐き 
        (こうなれば川柳)
        → 吐く (こうなると俳句)
 
       ②展示より下ぐればどっと菊崩れ→ 菊崩る 
 
       渥美線青田の原に出て軽く →  軽し
       (ただし倒置法の句は可)
 
       (連用形は、次の用言で、「で、どうなった?」        というのは川柳)
       
       ④種浸す■浮桟橋の橋に結はへ 
        (一物仕立てではないのでこれはよい。
        用言につながっている連用形の場合は良い)
       ⑤留学生着く■強東風を頬に受け
 
助詞留(特に、て留)
       よく見かけるが、発句の形ではない 
       ①行く春の西行像に顔寄せて → 寄せり
       義経の隠れ里より虹立ちて → 立てり
       ③辛崎の松は花より朧にて芭蕉)・・・
        一生に一句くらいはいいがて留めはNG
                                                                           
   (芭蕉は、指摘されると、何もこたえずにやに         や笑っていただけだそうです)
 
 
      ただし、倒置法の句は可
       ④大根干す良寛堂の柵借りて
       ⑤城涼し■鳶の高さに登り来て       
           
  
二句一章の切れについて 三段切れはだめ、発句以来のきまり(途中の切れは一つ)
 
       ①短日の餌あましたる象の檻
 
       ②短日の餌あましたり象の檻■・・・・・
       二句一章となりこれはかまわない
 
       ③短日▲餌あましたり▲象の檻■・・・・
        これは三段切れとなるのでNG
 
       ④白山へ凧押し上ぐる海の風■・・・・・・
        一物仕立てでありこれはOK
 
       ⑤白山へ凧を押し上ぐ▲海の風■・・・・・
        二句一章でOK
 
       ⑥白山▲凧を押し上▲海の風■・・・・
        三段切れとなるのでNG
 
      
 
二句一章のつもりが三段切れになっているもの
 
       ①名月や▲さざ波の寄す▲池の端■
       ②爽やかや▲タラップ降る▲親子連れ■ 
        →降るる
 
       ③綿虫や▲彫り文字赤し▲力石■    
        →赤き
       
      
       (対比やリフレインは可とする)
 
       ①一茶句碑▲山頭火句碑▲寺薄暑■
       ②男滝▲女滝▲子滝▲孫滝▲皆海へ■
       ③目には青葉▲山ほととぎす▲はつ松魚■  
        素堂