◎牛
1 一縷なるサダコの鶴や原爆忌 【祥雲】
歌
2 校庭に風がカラコロ鳳仙花 【一駒】
3 鳳仙花はぜては笑い声響く 【歌子】
祥
4 滑り台鈴なりの子ら鳳仙花 【法被衣】
◎祥 法
5 もう母の居らぬ確かさ盆用意 【牛郎】
祥
6 雨かぶり弾ける囃子ねぷたっ子 【一駒】
牛
7 カッと眼をむき悪睨む佞武多かな 【歌子】
8 笛吹きつ佞武多の熱と歩みたり 【法被衣】
◎駒
9 わ(我)だばゴッホ棟方の眼佞武多山車【牛郎】
法 歌
10 交差する手足しなやか風の盆 【祥雲】
祥 牛
11 千の馬千の牛連れ盆来る 【歌子】
12 盆踊り見よう見まねの園児ども 【法被衣】
駒 ◎歌
13 塔婆三本抱へて母の墓参り 【牛郎】
14 コロナでは行けぬ島根の墓参かな 【祥雲】
15 盆明けの三桁の数字置き土産 【一駒】
駒
16 弾け飛び互いの胸へ鳳仙花 【祥雲】
17 掛け声に囃子もなびく立佞武多 【一駒】
法 駒
18 庭のはな山ほど抱え墓参り 【歌子】
19 墓参り草ぼうぼうのあはれかな 【法被衣】
20 もうはぜぬどしゃぶりの雨鳳仙花 【牛郎】
21 蟇(ひき)に乗る児雷也ねぶた迫りくる 【祥雲】
◎法
22 向き直し遥拝暫し墓参かな
牛
23 夏休み終わる前夜の一夜漬け 【歌子】
24 八月や覚ゆ地球の公転を
歌
25 初施餓鬼リモート寺に合掌す 【牛郎】
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選句・鑑賞・感想
(1)祥雲選【◎5,4,6,11】
特選
◎5 もう母の居らぬ確かさ盆用意 【牛郎】
今までは母と一緒に盆用意をしてきたが、今年は自分一人。
「ああ~もう母はいないんだ」ということを確認するかのような情感あふれる句。
4 滑り台鈴なりの子ら鳳仙花 【法被衣】
鳳仙花は蝶形の可愛らしいピンク色の花。
まるで滑り台に鈴なりになって燥いでいる子らのようだという意か。
6 雨かぶり弾ける囃子ねぶたっ子 【一駒】
青森のねぶたっ子は雨にも弾けながら囃子ている。
そんな勇壮な景が生き生きと表現されている。
11 千の馬千の牛連れ盆来る 【歌子】
沢山の霊を引き連れて今年も盆がやってきた。
先の大戦の戦死者も含む感慨句であろうか。
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(2)法被衣選【◎22、5,10,18,】
特選
◎22向き直し遥拝暫し墓参かな 【一駒】
帰り際に今一度故人を懐かしみ想う心情が伝わって来ます
5もう母の居らぬ確かさ盆用意 【牛郎】
肉親が亡くなって間もないしみじみとした心の情景が伝わって来ます。
10交差する手足しなやか風の盆 【祥雲】
一晩中ゆったりと踊られる風の盆、故人への想いも交差しているのやも。
18庭のはな山ほど抱え墓参り 【歌子】
故人も眺めていたであろう庭の花、作者の細やかな気遣い。
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(3)一駒選【◎9,13,16,18】
特選
9◎ わ(我)だばゴッホ棟方の眼佞武多山車 【牛郎】
佞武多は棟方志功の絵が今も心に残る
13 塔婆三本抱へて母の墓参り 【牛郎】
亡くなった人3人分の塔婆に墓守のご苦労が偲ばれる
16 弾け飛び互いの胸へ鳳仙花 【祥雲】
鳳仙花の特徴と嬉しさが重なってこちらも幸せになる
18 庭のはな山ほど抱え墓参り 【歌子】
あなた達が育てた花よって墓に報告する姿が愛おしい
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(4)牛朗選【◎1、7、11、23、】
特選
◎ 1、一縷なるサダコの鶴や原爆忌 【祥雲】
7、カッと眼をむき悪睨む佞武多かな 【歌子】
明かりの点いた佞武多の迫力に感動しました。
11、千の馬千の牛連れ盆来る 【歌子】
胡瓜の馬に乗って早く帰り、茄子の牛に乗りゆっくり帰るご先祖
23、夏休み終わる前夜の一夜漬け 【歌子】
子供の頃を思い出させて頂きました・
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(5)歌子選【◎13、25,2,10,】
特選
◎13 塔婆三本抱へて母の墓参り 【牛郎 】
母がいなくなってしまった寂しや悲しさを抱えながらも、一つ一つ仏事をこなしていかれる様子が目に浮かびます。
25 初施餓鬼リモート寺に合掌す 【牛郎】
ものすごい勢いの陽性者の数、コロナ禍のため、お施餓鬼、お寺には集まらずリモートで行われたご様子。記録動画をみているようです。
2 校庭に風がカラコロ鳳仙花 【 一駒】
「カラコロ」が鳳仙花のはじけ飛ぶ音楽的なリズムと重なり心地よく響いてきました。
10 交差する手足しなやか風の盆 【祥雲】
何か色っぽいといいますか、切ない詩とともに、古い街並みや踊りが目に浮かびます。