●J次郎選【25 30 32 33 52】
25 春の雨マスク外して歌唄う
25 春の雨マスク外して歌唄う
インフルエンザの流行期が過ぎたのを喜んで、
の一句。 着眼点がおもしろい。
30 春雨やかげ薄墨の傘の列
黒いはずの傘が、おぼろに灰色がかって見えた。
それとも、春日傘の陰が、やわらかく見えた。
のだろうか
薄墨が春の印象をつたえていますね。
32 髭面や青い瞳の遍路行く
季無しですが、意外性のある一瞬をとらえていて
作者の驚きをかいます。
つぼみの水仙はうすごろもを着ているようですね。
52 空を蹴るあこの足裏や春の雲
まだ、はいはいもできないあかごが足をさかんに
動かしている。
その目の先の窓には、春の日差しが暖かく・・・
暖かいですね。
気になった句は
まだ冬の寒さの残る越前海岸では、
日本海に臨む断崖のような急斜面に、幾万本の
水仙が一面に花開いて、一足早く春の予告をします。
16 崖下の風に揺れてる黄水仙
私としては、「やや、情景がやわらかすぎる」ような
気がします。
もっと、風は強く、踊るというより、吹き倒されまい
春雨は、「濡れてゆこう」の名台詞のために、暖かく
やわらかいイメージがあります。
30 春雨やかげ薄墨の傘の列
30 春雨やかげ薄墨の傘の列
34 春雨や駆け足逃げる半平太
40 春雨を気取りて濡れる男かな
ですが、34 40はすこし元の歌に寄りかかりすぎ、の
気がします。
30は、傘の列と、たくさんの傘にしたので、別の趣に
なっています。
44は(30も同じですが) もっと短く出来るのでは、の印象
があります。
雪は降り積もり、五月雨は溢れる。イメージですが
春雨は、しっとりと滲み入る。のイメージでもありますね。
8 しっとりと苔に浸み入る春の雨
42 春雨の六絃琴説法心滲み
58 春雨の地に滲み入りて黒き土
8 58は説明のための言葉がもったいないように思います。
8 58は説明のための言葉がもったいないように思います。
42も「心に滲みる」のは、ただ「滲みる」だけで伝わる
ように思います。
「春雨の、滲みる六絃、琴説法」(勝手に改作ごめんなさい)
さて、それでは自作の句は、言うほど良いものかというと
さにあらず。で、後から見直せば、欠点ばかりが目立って
気持ちとしては、
作物を作るべき畠に、水仙を植えなくてはなら
ない、一種の悔しさが、あるのではないか
(この畠は、見知らぬ他人の畠です)
それを、表現できないか・・と思ったのですが
ただの、見たままになってしまいました。
「休耕の畠や一畝黄水仙」と一文字変えるだけで、
少しは・・と思います。
13 置物を眺め眇めて春の雨
春の雨に降り込められてやるせない気分、を詠
みたかったのですがうまくいきませんでした。
少し変えるならば
「置物を眺め眇めの春の雨」だったのか、とも。
26 先達が五年生なり年度末
当季雑詠の季に引っ張られ、年度末が無理付け
です。
六年生のリーダーが引退して、学年下の五年生
が先頭に立って登校している。
それだけで、年度末をあらわせるのですから
明らかに、説明しすぎ。
では、どうすればよかったか、というと
まだ、思いついていません。
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●J次郎2の作品
1 | 休耕の畠に一畝黄水仙 | 【J次郎2】 |
13 | 置物を眺め眇めて春の雨 | 【J次郎2】 |
26 | 先達が五年生なり年度末 | 【J次郎2】 |